最近のべつ花粉症の症状と蕁麻疹が出るので、薬をもらいに旧居近くの医院へ出かける。
「あー前に来られたの10月なので診察受けて下さい」
あーはいはい。
呼ばれて診察室へ行くと。
「血圧、レントゲン、採血して検尿もするから。あと肺機能検査も」
いやセレスタミンとH1ブロッカー何かくれればいいのよ?とはいえこちらは素人ですので。
乾板式の古い設備でガンマ線を浴び(他の言い方は無いのか)、手動ポンプの血圧計、しょんべんだして血を抜かれ、
肺機能検査。装置にスペック打ち込んで息を吸ったり吐いたりする。打ち込むのは患者番号と、
Hight
Weight
Age
SEX
「上から分かります?」
「172、62、50…」
「男性、ですね」
ちっ!←何を企んでいたやら
もろもろ検査して出てきた答えは。
「喘息の方の典型的な肺ですね。でも問題ないです」
喘息でも問題ないのか。ちなみにアテロームの手術の際に撮ったCTで「肺に炎症の痕跡あり」って所見があったのを気にしての検査だったらしい。ま、いいけどね。医者って自分のやり方で調べないと納得しないし。
「6300円です」
このコスパw。ってまぁ、「この薬を下さい」である程度わがまま聞いてくれる代償なんだけどさ。
大手術を終えた親族から
「胃パンピヨ」
と書かれたメールが飛んできたらあなたはどうする。胃に何か施しを受ける羽目になったのか?
胃パンピヨ→いぱんぴよ→いっぱんぴょ→いっぱんびょう→いっぱんびょうとう
ただの打ち間違いである。人騒がせな。管物全部引っこ抜いて筋力リハビリとか。
電話で会話する。喋るのにしんどい様子も無い。
ならまぁええわ。なお、しれっと書いてあるが、心臓病というのは「持っている間は負のスパイラル」であり、治れば全てが復古する可能性がある。
および、治すテクニックのレベルがすごい。
12:57。ショートメッセージ着信。
「3日にHCUにうつった。順調」
HCU:HCUは「High Care Unit」…高度医療室がよく聞く邦訳。
父はそこへ移って2日を経てから自ら我々に連絡してきたわけだ。このブログをご覧の看護師がどれだけいるか知らんが、大手術した後意識が回復したか位は患者家族に連絡があって然るべきでは無いのか?
専門分野にある人にありがちなのだが「あなたにとってはよくあることでも、相手にとっては一生に一度のおおごと」なのだ。ターニングポイントで安心要素の通知があってもよかろう。
「スマホ禁止なのでこの辺で」
はいはい。とはいえメール打てるなら身体諸機能意識レベル問題ないと判断する。最大の懸念であった肺機能の急性増悪は「ここまで日数過ぎて起きた例を知らない」と医者に言われた由(これも「もう大丈夫」とは絶対に言わないのな)。
まずは良かった。娑婆へお帰り。まぁリハビリ頑張ってちょーす。
興味本位で色々聞いてみたいことはあるw
特急「はちおうじ」とかいうそのまんまかつくそだせぇ列車で母親とともに病院へ向かう。正直ボッタクリでムカつくが、コロナ禍の今、人口密度が下げられる座席指定特急はありがたい存在ではある。サンドイッチで簡単な朝食を取り、仮眠。
(トップナンバーじゃねぇか)
新宿で乗り換えて8時には病室待合に入れて、8時半、輸液装置をペットのように連れた父を送り出す。
「首から下の毛全部剃られた」と苦笑い。しょうがねぇ、感染症の防止だ。
10時近くに手術後の話についてオリエンテーションというので、そこまでの小一時間で院内スタバへ。濃いコーヒーと甘味で一息。
ICU(集中治療室)の待合へ赴き、オリエンテーション。言うて「終わったら声がけします」という話と荷物の過不足確認、いらない分は持って帰れという話。ちなみに手術室の「手術中」の赤ランプの前でじっと待つとかドラマでよくあるシーンだが。
「ここでお待ちください。昼食時も院内から出ないでください」
うへぇ。しょうがないのでコンセントのある待合室隅に陣取り、会社パソ開いて可能な範囲で仕事。
父は9時よりまず全身麻酔。併せて最強の痛み止めとしてオピオイド系の薬を投与される。オピオイドの有名な薬としてモルヒネとかソセゴンとか。これらが効果を出すまで小一時間。
執刀、となる。胸を開き、骨を切り、心臓を包む「心膜」を切り開くと心臓が現れる。大動脈と右心房を人工心肺装置につなぎ、「心筋保護液」と呼ばれる、冷却された濃度の高いカリウム溶液を流すと、心臓筋肉の力が抜けて心臓の動きが止まる。これは正確に言うとカリウムと冷却効果で「次の拍動」までの時間を大幅に引き延ばしているのかもしれぬ。
確保できる時間は3時間とか。この間に大動脈を切り開き、機能不全となった大動脈弁を切除、動物の筋肉で作られた生体弁に置換する。引き続き左心房を開き、僧帽弁を確認。こちらは実物確認の結果、形成術を選択したという。すなわち固くなった部分を切り取り、残った部分を縫い合わせて「しなやかに動く薄い膜」を復元する。終わったら左心房、大動脈を縫い合わせて元に戻す。保護液を血液に戻せば心臓の鼓動は再開。
14時50分。
「終わりました」と執刀医が晴れやかな笑顔で待合に訪れた。とはいえ「人工心肺から自分の心臓に戻した」までで、縫合などはまだ残っている。ただ、主眼であった二つの弁膜症は取り除かれた。
さらに一時間ほどした16時過ぎ、ICUに戻ったというので案内される。
ベッドの上に仰臥して父はあった。見えているのは顔と手先。むくんで微動だにせぬそれらは、バイタルサインを示す機械がなければにわかに生を信じがたい。否否肌の赤みが血の色が違う。それは正しくガス交換された動脈血が正しく巡る肌の色だ。
リスクの説明を受ける。傷口からの再出血、脳梗塞の有無は意識が戻ってみないと判らない、肺機能の低下。緊急呼び出しのTEL番確認。
その間に看護師たちが呼吸の補助や輸液、ドレン(排水)の管をテキパキつないで行く。それだけの人手と機械の補助の元に、父は命をつないでいる。
ICUで24時間監視を受けるハイリスクなのは数日。その後も数週は一般病棟で入院様子見。
戦った男は、取り戻した拍動とともに眠っていた。
父よまずは戦場からの帰還を祝おう。退院したら、温泉でも行こう。
医師と電話会議を行い、父親の術式の確認。
・大動脈弁→生体弁に置換
・僧帽弁→生体弁に置換を前提とするが、サイズ不適の場合は形成術を行う。開胸して最終確認
・リスクは感染症、肺機能の急性増悪、術中に生じた血栓片の脳への移動による脳梗塞
(参考)
増悪はハイリスクと言って良い。元々間質性肺炎を持っているので、風邪引くだけでも要注意なのだ。
ただ。
比較的リスクの少ない「大動脈弁のみ」の手術をしたとして、僧帽弁の弁膜症は残るので、酸素豊富な血を巡らせる、という機能の改善には不完全である。緩慢な悪化を許容しながら薬と生活習慣改善で過ごす…ケガしやすい病気しやすい、しかもそれらの治りが遅い…生活に対する制限が多すぎるのだ。QOL(生活の質・人間らしいあり方)が高く取れれば、数年延命を狙った姑息術でもいいと思うのだが、根幹機能が相手では。
そして、月曜の朝8時半に東京の真ん中の病院へ出てこいという。中央線の満員電車とかコロナリスクの固まりみたいな物だ。
「通勤特急指定取って乗るか」
「新宿で朝ご飯食べればいいじゃない」
決戦は週明け。そして手術後数日「急性増悪」との24時間戦闘になる。
義父が「BCG」の投与を受けることになった。ハンコ注射でおなじみあのBCGである。免疫を活性化させてがん細胞を攻撃させる。
ちなみに、「攻撃させる」メカニズムは実は判っていなかったりする。ただ、再発率、がんの進行(病態の変化)を押さえる実績は取れている。帰納法的な使い方といえる。
問題は「命の危険はないけれども、ちょっとしんどい」副作用が高確率で出る、とされていることで、それが嫌で途中でやめてしまう人も多いとか。
・1クール週1回×6
・3,6,12,18,24,30,36ヶ月(合計3年)、半クール再注入
……まぁ、なぁ。ただ、再発率は半分に下げられる。
ひとつ確かなのは「再発」の率を下げるとともに、「進行」を抑制すること。すると特に高齢者においては、「根治」よりは進行を遅くしてその間は普通に生活できるように「コントロール」する道をとることが多い。
担当する病院に市バス乗り継ぎで行けるようになり、在宅勤務ですぐに対応できる。それは多分応じたアクションを取れという運命の導き。
「じゃ読まねぇ」
まぁまぁw
●ついにタイガーバーム
「タイガーバーム」と聞いて「CMを見た」というのは昭和の世代であろう。あの頃と代理店が変わったようでCMは流れていないが流通はしている。アジア出自の軟膏である。
「すげぇニオイ」と噂が広まったせいで、ニオイのきつい温泉などと同じく「薬効成分自体はすごいんじゃね?」という印象はあった。ただ応じて病院処方じゃどうにもならない「じじばばの最終兵器」みたいな印象もあった。
で。
今般縫工筋さん炎症が回復の傾向を示し、それをブーストしようと思い立ち、ドラッグストアに向かった妻に購入を依頼した。
「無かったよ」
あら?が、追って同じ店に行ったら。
「あったよ」
って、こんな小さいんじゃ気づかなかったかもね。これで900円する。
配合されている薬効成分はカンフル/ハッカ油/ユーカリ油/メントール……なんだ普通じゃん。丁子油。
丁子油:クローブの精油。 CAS登録番号8000-34-8。ナニ?日本刀のさび止め!?機序はよくわからんが鎮痛・鎮静作用がある。アロマ油としても販売。はぁ。
よくわからんが塗ってみる。手触りは「メンタム」に似ているが指に載せると柔らかくなる。冷暗所に保存とあるがそうしないと溶けるであろう。マニュアル通りよくすり込む。
3分ほどでひんやりしてくる。メントールとカンフルですね。ところが10分ほどするとカッカと熱くなってくる。おお、予想外の展開。それっぽい成分はないんだけどね。大体この手のクリームや湿布は「冷感」「温感」どっちかで、両方というのは珍しい。
なお慢性肩こりの妻に塗ってみたが。
「特に……」
個人差あるのか塗り方が悪いのか。揉み込んで使うのでもう少し研究しよう。
●ライオン丸→うすらはげ
膝を曲げられるようになってきたので美容室へ赴く。加齢とともに生来の天パが出しゃばり始めて、くるくるのそりそり放題。「全部アホ毛」と書けばよいか←アホそのものか。自転車乗った日にゃライオン丸かポン・デ・リングか。
美容室(重ねて書いたが美容室でカットしている。安いんだよw)でジョキジョキしてもらうとくるくる髪の毛がバッサバッサ落ちる。
「終わりました」
そり込みとてっぺんの生え際が後退し始めた白髪薄らはげじじいが鏡に映っていた。
ハゲるならかっこよくハゲたいねぁ。
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