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彼女は彼女を天使と呼んだ(21)

「所詮学級委員が集まったところで……」
 父親はうなずき、
「そこだ。アンナ・カレーニナって知ってるな。アレの冒頭なんて書いてある」
「『幸福な家庭は皆同じように似ているが、不幸な家庭の状況は様々だ』……あ」
「学級委員だけ集まってもな。オレには教育委員会サマのジサクジエン劇場にしか思えん」
 もちろん、クラスメート状況様々なのは、学校行き始めて8年のプロ(?)としても容易に想像の付くところで。
「私のクラスでは積極的にみんなと話すようにしてます。と言っても……」
「所詮幸福なクラス。ただ気をつけろよ。傷ついた心は、それ以上傷つきたくないために平静を装う。傷ついていることを嘲笑の対象にされたくない。更に乗じて傷つけられたくないと思うからだ。方や隠し、こなた黙り込む。結果誰にも言えず追い込まれ、何も言わない普通の子がある日突然首を吊る」
「……なんか聞けば聞くほど言葉が出なくなるね。何かできるの?何を言えばいいの?って」
 学級委員ってのはぶっちゃけ『エリート』だろう。午後のひとときそのエリート『幸福な』が集まって、社会情勢までを底辺に置く深刻な話題を扱って、何か見いだせるとは思わない。
 せいぜい、酷いね可哀想だね。そして気をつけましょうというありきたりな結論で終わるのが関の山。
「建設的な話が出来ない気がしてきた」
「まぁめげるな。行けと言われたからにはブチ上げてこい。コーヒー立ててやるからそれ早く食ってしまえ。チョコも丁度頃合いだろうし」
「えっ?」
 頃合いの必要なチョコ?……そこに注目が移ってしまう自分も所詮対岸の火事か。

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