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ブリリアント・ハート【12】

「おや、可愛いお客さんだ」
 嬉しいがリアクションに困るのがこの種のセリフである。
「恐れ入ります」
 とりあえずこう応答。
「どちらへ?」
 レムリアは学校の名を口にした。徒歩15分なら距離は1キロか。
「近くてすいませんね」
「いやいや。お嬢ちゃんみたいなお客さんなら100メートルでもいいよ。うちの孫もあと10年もすればお嬢ちゃんみたくなるのかねぇ」
 至って明るい調子で言い、車を出す。カーラジオからは高校野球中継。
 時報が鳴り、ニュースになる。トップは当然王女某行方不明。横浜じゅうの駅に警官を配置したが見つからず。目撃情報を提供した男性に事情聴取の方向。
 東京に心で謝る。うわ、ごめん。
「そういやこのいなくなったお姫さん、嬢ちゃんと同じくらいの歳だそうだね」
「13歳、って言ってますからそうですね」
 しらじらしく言ってみる。
 ラジオが特徴を告げる。身長150。白っぽいTシャツに青いジーンズ。
 運転手がミラー越しにちらりとこちらを見た。
「嬢ちゃんと同じだねぇ」
 どうコメントしようか困ったところで携帯に着信。
 運転手に一言断り、受ける。相手は東京。
『来るってさ。しょっぴかれてくるわ』
「ごめん」
『いや、そういう服装の子を見たというだけで、罪にはならんから気にしなくていい。それより問題なのは向こう暫く何も動いてあげられないってことさ』
 レムリアはその意味することの重大さに気付いた。
 全部自分で対処する必要有り。
 と、ラジオが新しい情報とやらを告げる。ホテルのカメラと、地下鉄改札のカメラに、同じ服装で黒縁メガネの少女の姿が映っていた。
 思わずラジオを見つめてしまう。対し、再び運転手の目線。
 しかも。
『あ、来たわ。健闘を祈る』
 電話は、切れた。
 運転手が、クルマを、止めた。
 竹林の脇であり、学校ではない。
 …バレた。
「ひょっとして姫様ご本人ですか?」
 運転手は、言った。

つづく

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