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ブリリアント・ハート【11】

 実は、これが彼女の有する特殊能力の本質。
 しかし、彼女が何をしたのか判る人物は現代には極めて少ない。また、仮に判ったとしても、口に出した瞬間に正気を疑われるであろう。
 魔法、月の精霊に力を借り、呪文にてその効力と内容を制御するもの。
 すなわち彼女は魔女である。但し半人前。月の満ち欠けに能力を左右され、もっと言えば大がかりな術を施すには満月の光を要とする。なお、この関連で彼女は俗に超感覚と呼ばれる特殊な感覚能力を幾つか有する。前述の具体的すぎる直感もその一つ。
「…はい。何か」
 レムリアは指を収めて答えた。女性は勢い込んで何か言おうとし、しかしそのまま口ごもった。
 恐らくは、言おうとした言葉がどうしても思い出せない状態。ただ、一時的に過ぎず、時が経てば元に戻る。
 ごめんなさいとレムリアは心の中で思った。申し訳ないとは思うが、そればっかりは勘弁して。
「…え?ううん。何でもない。人違い、ごめんなさい」
 女性は言うと、恥ずかしそうに頬を染め、小さく頭を下げ、足早に去った。
 その後ろ姿に胸が痛い。
 が、女性が立ち去ったことで“お開き”のような様相になったらしく、立ち止まっていた衆目も、それぞれの目的地を目指して歩き出した。
 レムリアは安堵の息をついて駅前広場に出る。駅前は開発されて日が浅いらしく、コンクリートやアスファルトが新しい。広場の向かいには大きなショッピングセンターがあり、北へ向かう上り斜面に新築住宅がずらっと並んでいる。
 学校はここから徒歩15分とか。迷うのも困るのでタクシー乗り場へ。
 手を挙げて走ってきた個人タクシーには白髪まじりの初老の男性運転手。第一印象は温厚で感じ良さそう。ちなみに、特殊能力の関係で、彼女の第一印象はまず正解と言って差し支えない。
 ドアが開く。

つづく

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