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彼女は彼女を天使と呼んだ(81)

「あなたは霊媒体質ではあるのでしょう。でも御せない。連中は依り代として使えると思ってこれ幸いとあなたに近づき、あなたを調子づかせた。結果、あなたが負けたと自覚した瞬間、使えないってさっさと逃げた。それにそもそも、あなた超常感覚に対するガードは堅くしたようだけど、まさか普通に足と目で探すとは思わなかったかな?頭隠して尻隠さずってね。そういやさっきも、みんなが外で待機するまで読めなかったみたいだし。ところで今、私の意識が読めますか?」
 理絵子は知見を全部喋った。
「お前一体……」
 目を剥くその姿は、理絵子に対する認識が〝己れを上回る〟であることを示した。
「思ってる通りだよ。いいから来な。無制御のあの世への出入り口そのままにしておくつもりかい。それがどれだけ危険か位承知してるでしょう。しかも……あの音楽室の隣に。言っておくけど幽霊の彼女が作った場の歪み自体はまだ残ってるんだからね。それ利用したいからそこに円切ったんだろうけどさ。だから四十九日ってのがあるんだよ」
 理絵子は顎をしゃくった。

22

(このパートは、深夜孤独な環境で読むことを推奨しない)

 第2理科室の準備室。
 備品の日焼けを防止するためだったのだろう、暗幕カーテンが引かれたままで、昼であっても暗渠の中。
 廊下側の引き戸を開き、差し込んだ光に照らされたその部屋の有様は〝悪趣味〟の極北と言えた。
 床面には赤黒く凝固した血液で魔法円が描かれ、際し生け贄にされたのだろう、黒い鶏が首を切られ、遺骸と血液が腐敗臭を放っている。
 円の中にはその鶏の頭部と、骨格模型か、はたまたデッサン用市販品か、人間の頭蓋骨。
 部屋の隅には何枚ものコピー紙が乱雑に積み上がる。黒板落書きと同様、パソコンで魔法円の図面を印刷し、切り抜き、血を塗って描いたのだ。
「行って閉じなさい」
 理絵子は腕引っ張って連れて来た高千穂登与に入るよう促した。
「いや……」
「あんたが開いて固定したんでしょう。開いた本人が閉じないで誰が閉じるのさ。カギはあんたの心の中だ。私にはどうにも出来ない」

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