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彼女は彼女を天使と呼んだ(96)

 すなわち彼女もまた自信がないのだ。だから自分から動かず、自分を出さず、〝確実な何か〟を待ち、その何かに〝やってもらう〟のだ。頼むフリで頼るのである。
 ある意味魔を召還し命じるのと同じである。ただ、そんな彼女を否定はしないし、間違いとも今は言わない。自分を少しでも有利に……動機はただそれだけだからだ。そして、自分に自信があれば、そんな心理は生じない。
 だから、今後も自分は、彼女にとってクラス委員であり続ける。
 だから、今後彼女は、絡んだ髪の毛を本気で解こうとする。彼女は手のひらの細く絡んだ黄金を、あるべき姿に戻そうとする。それは途方もなく時間を要し、要求された魔法の抑制は、事態と自己を冷静に見つめ直す時間を与える。
 結果、彼女は解けるのであろうか?占いは嫌いだが。
 ニーベルングは歌う。水底の黄金を指輪に出来る者は。
 登与がその先を知り、目を見開いて自分を見た。
「それは……」
「ケニング。じゃ、由佳ちゃん頑張って。今、バトンを持っているのはあなただから。私の手には何もないよ」
 理絵子は言った。これで同じコトを再三言った。信じるかどうかは最早彼女次第だ。テレパシーは希有の能力。しかし、判る力ではあっても、変わる力にはなり得ない。不定なことは〝不定〟としか判らない。
 ただ、ここに少なくとも確定した事実一つある。友達がまた一人増えた。
 能力繋がりの。いや、正しくは二人か。
 遙かなる、馬上のひと。

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