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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-15-

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 真由はIDに記してあったレムリアの所属団体、国際医療ボランティア“欧州自由意志医療派遣団”の英文名をすらすらと読み上げた。
 レムリアは気付いた。
「Are you good at English?(英語お得意?)」
 反射的に英語で問う。真由はハッとした表情を見せ、レムリアを振り仰ぐ。
「Yes. But I was made to feel to mother by force precisely.(まぁね。とは言っても母のごり押しだけどね)」
 真由はあっさり答えた。ほぼ完全なバイリンガルとレムリアは断じた。
 ちなみに、レムリア自身は12カ国語を操る。なお、レムリアが真由について“気付いた”と書いたが、その中身を解説風に書くとこうだ。彼女は英語が得意であり、その方面で認めてもらいたいという思いがあるのと、見知らぬ少女より心理的順位として優位に立ちたい、という無意識の情動が働き、つい、口に出た。
 レムリアはその意を汲んで英語で返したのである。ただここで、彼女の“認めてもらいたい”という気持ちは、その裏側に、認められていない現実の存在が指摘できる。
 本筋に戻る。真由は意表を突かれたというか、目を見開き、“へぇ”という表情。
「……すげぇなお前。返されるとは思わなかったよ。てかあれ?じゃぁお前日本人じゃないの?メディア……」
「それが本名。コールサインをレムリア、日本人になりすます時は相原姫子」
「なりすます?」
 訝しげな表情。
 レムリアは答えず、もう一本のペットボトル、ジンジャーエールのフタを開け、自分が一口カパッと飲んでから、真由に差し出した。
「走って帰ってきたでしょ?」
 すると、真由は何も言わず、ひったくるようにペットボトルを奪い、ゴクゴク飲んだ。
「あーっ!」
 天に顔を向けて声を出す。まるでスカッとさわやかなコマーシャル。
 だがしかし。
 深秋のさわやかな青空を、暗雲で覆い尽くすように、超常感覚が警告を発したのはその時である。
 
(つづく)

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