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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-2-

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 常滑市。愛知県知多半島の中程、西より海岸沿いに位置する。沖合人工島に中部国際空港を擁する。
 古来より陶器の製造で知られ、その原初は平安期にさかのぼる。「せともの」に代表される、同じ愛知の「瀬戸」などと共に、日本六古窯(ろっこよう)に数えられる。有名なのは朱泥(しゅでい)の茶器類であろうか。ちなみに“まねき猫”の生産量が日本一である。
 詳細は専門書に譲るが、出自が古いだけに、後付加工で彩るより、素材の良さを生かしたシンプルな焼き物が多く、彼女の場合も、知り合い宅で見せられた、その系統に惹かれた次第。今日はたまたまこの地に用事があったので、帰国がてら立ち寄り、気に入った物でもあれば、と思ったまで。
『常滑です』
 女性車掌のアナウンスと共に、電車のドアが開き、彼女はいくらかの乗客と共に降り立つ。
 ホーム上の男性客が彼女を見、声に出すならおー、となるか、口を小さくアルファベットの“o”の字に開く。
 かわいらしい女の子だ、と書いて異論を持つ者はおるまい。
 彼女の身長は153センチ。小柄と表現できるが、それでもここ1年ほどで3センチ伸びた。
 顔立ちは平成年代風美少女とでも書くか、“ころん”としており、少女マンガのヒロイン向きと言える黒い瞳の娘であって、髪の毛は肩に触れない程度でスパッとカット。ジーンズ姿と合わせ、軽快な印象を与える。その軽やかさと、かわいらしさによって、彼女がいるだけで周辺がパッと華やぐ、そんな感じと書けるだろうか。異国の娘であるが、東京渋谷、名古屋なら栄(さかえ)か、繁華街を歩いていて、そうと気付く者はおるまい。
「あ、どうも」
 道を空けた男性客に彼女は軽く会釈をすると、意外に強い風にちょっと驚きながら、羽織っていたカーディガンの前ボタンを留め、高架ホームの下へと階段を下りて行く。
 
(つづく)

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