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2010年10月24日 (日)

グッバイ・レッド・ブリック・ロード-54-

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「まぁいいや。イヤ実は夜闇に乗じて悪さをする手合いかと思ってね。いいよ、嬢ちゃんの言葉を信じよう」
「恐れ入ります」
 クルマをスタートさせる。この空港島地区は、鉄路以外では船に乗るか、有料道路を経由しないと出入りできない。要するに入るにも出るにもカネが必要。
 ETCシステムにモノを言わせ、ものの3分で“本土”に帰還する。タクシーは深夜割り増しの時間帯であるが、セラモールは料金が気になる程の距離ではない。
 市街を抜け、北に向かい、大通りを右に外れ、細い坂道をくねるように昇って行くと、突然、建物群が立ち並ぶ一角。
 但し人の気配はなく、薄暗く街灯が灯り、それら建物がひっそりと並んでいるだけ。
 眠った街という表現がピッタリ。
「あの公園みたいなところでいいです」

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(あの公園みたいなところ)
    
 レムリアは言った。実際に必要なのは“道幅”である。
「そうかい?」
 運転手氏がクルマを止める。車代を払うが、真由の父の紙幣から、というのも抵抗があり、ポケットマネー。多少は日本円を持ち合わせている。
 タクシーが去った。
 エンジン音が聞こえなくなると、いよいよ“眠った”印象が強まる。左手の公園に並ぶ遊具はぴたりと静止し、鋼の持つ無機質の本質をあらわにし、正面から奥の方向、街路両脇に立ち並ぶ真っ暗な店舗群は、魂を抜かれたよう。
 夜11時59分。
 西の空には、首を傾げたレモン型の月。
「んで?」
 背後からの真由の声にレムリアはウェストポーチをゴソゴソする。
 取り出したのは衛星携帯電話。一見すると軍用無線機を思わせる無骨な外観。アンテナを伸ばし、ボタンを押して発呼。
「レムリアです。よろしくお願いします。お客様がいます。……はい」
 電話を切り、ポーチに戻す。
「待ち合わせじゃなくて今から呼ぶの?」
 
(つづく)

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