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2010年10月25日 (月)

グッバイ・レッド・ブリック・ロード-55-

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 真由が訝しげ。
「大丈夫。すぐ来る」
「すぐって……だってクルマじゃないと来られないよ?空でも飛んでくるとか?」
「だったりして」
「だったり!?だったりって……あ」
 それは一見すると天を疾駆する白銀の流星。
 だが天文学の言う流星でないことはすぐに明らかになった。
 その白銀の星は、二人の頭上まで来ると、二人が目的地であると言わんばかりに、ピタリと静止したからだ。
 西方から天を流れ来、頭上で止まった白銀の星。
「目を閉じて。風が吹く」
 レムリアが言ったそばからドッとばかりの気流が吹き下ろす。吹き下ろした気流は周囲に広がり、眠った街が突然の台風に見舞われたようにバタバタと鳴動する。
 思わず腕で顔を覆う。身体がよろけ、風圧で吹き飛ばされるか……そう感じた瞬間、風は収まった。
「大丈夫だよ」
 レムリアは未だ顔を隠している真由に言った。
 真由が腕を動かす。
 そして顔を上げ、そのまま固まったようになる。
 船。
 書き間違えているのではない。アスファルトの道路に座するその構造体は紛うかたなく船である。サイズとスタイルは中世大航海時代の帆船に近似するか。但し、3本のマストの帆の部分には、工業製品の趣を漂わせる四角四面の白い板を装備している。
「これ……」
 真由が驚愕の中から、ようやくそれだけ言葉を発した。
 レムリアは振り返り、言った。
「亜光速宇宙航行帆船アルゴ号」
 真由は目を見開いたまま絶句。“亜光速”など、日常で耳にする言葉ではないが、宇宙航行という言葉は理解可能であろう。
 その間に船の方で動きが生じる。船体側面、本来の船なら水中に没する部分が、一部切り取られたように開口し、奥へ引っ込み、次いで右方へとスライドする。
 出入り口である。程なく開口部分の下方から板がスルスルと伸びて来、アスファルト上へスロープを形成する。
 
(つづく)

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