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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-61-

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 レムリアはその手を取って引き寄せる。
「よろしくお願いします」
 真由が一礼。なお、以下会話は基本的に英語、真由とレムリアの間は日本語である。
「こちらこそ。さぁ、中へどうぞ真由さん」
 セレネの声にレムリアが真由の手を引き、船のスロープを上がり、乗船する。
 アルゴ号。言うまでもなくギリシャ神話の同名の船の名による。神話のアルゴは黒海の奥へと進路を取ったが、こちらのアルゴは宇宙深淵へと航行可能である。
 つまり宇宙船、正確には恒星間宇宙船に属するが、そう書いて、21世紀初頭の技術では不可能と、即座に首を横に振る向きもあるだろう。
 しかしこの船にはそれを可能とする動力機構を搭載する。実現は22世紀と言われた究極の原動機“光子ロケット”である。
 詳細な説明は省くが、その最高速度はほぼ光速に匹敵する0.9975C(時速10億7730万キロ)。特殊相対性理論に覚えのある方は、ローレンツの式に代入し、その能力のほどをご確認頂きたい。
 従って太陽系を抜け遠く他の恒星へと向かうことも可能ではある。しかし、燃料が極めて特殊でグラム単位でしか用意できないことから、全地球を対象に瞬時に駆けつけるレスキュー船として用いている次第である。なお、大気圏内の最高速度は光速の1パーセント、秒速3000キロに抑制している。それでも地球の裏まで6秒で到達する。救助船の能力としてはまず充分であろう。
「映画のセットみたい」
 真由が見回して言う。船は両舷(左右の側面、船べり)に沿って通路が配されているが、その通路はハチの巣の室を思わせる6角形の断面で、壁も天井も白一色、確かにSF映画の宇宙船に近似しているかも知れぬ。
 背後に船長アルフォンススと副長セレネが乗り込み、昇降口がスライドして閉まる。
 
(つづく)

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