グッバイ・レッド・ブリック・ロード-91-
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そこで。
「そんな下らないヤツが足元にも及ばない、そんなのより凄い集団に、船飛び降りて立ち向かって行った、凄い女の子いるじゃん」
レムリアはこう言った。
そして言いながら気がついた。真由には自分に責任を帰してしまうという、思考上の“クセ”が付いてしまっているのだ。
これか。という洞察感がある。いじめの被害を受けた子どもに対して、安心しなさい全て終わった今後の事は任せなさい。多少の差違など将来には影響なし……それだけでは足りない何か。
いじめるという行為は暴力そのものであって、責任の全てはいじめる側にある。いじめられた側が何かしなくちゃならない、という事は一切無い。いじめられる方が悪い?じゃぁ“いじめていい”、のか。
ただ。
いじめを受けている側のこうした“自分に帰着してしまう”クセの存在は気付かせても良いように思える。その思考ロジック自体が存在していること、及び、それは正しい自己評価ではない、と認識させること。そうしないといつになっても“どうせ自分は”が出てきて、先へ進まない。それは求めている尊厳の回復、その先にある“自分への自信”とは逆のベクトル。
レムリアは言う。
「連中があなたに対して鼻につく、と感じているのは、あなたが人より優れている、と感じたからでしょう」
そして続けて。
「加えてあなたには真の勇気がある。夕方防犯ブザーを鳴らしてくれたのもそうだし、どころか、こんな銃弾飛び交う異国の地で率先して駆け出した」
「でもそれはレムリアを手伝おうと……」
「だからってだめな人はだめだよ。たとえ船のムサい連中が両脇でレーザ銃抱えていてもね。連中が守るから大丈夫と幾ら言っても、怖じ気づいてしまうでしょう。でも、あなたはそうじゃない。あなたみたいな友達がいることを私は誇りに思う」
(つづく)
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