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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-135-

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 病室内から呼ぶ声。
「先生。ちょっと」
 由香である。二人が病室に戻ると、合点が行かぬという顔の祖母と、下唇を噛んでこちらを見ているベッドの由香。
「先生。学校はばあちゃん……じゃない、祖母に、私がドジって落ちたと言ったみたい……なんですけど……」
 事実との食い違いは何なのだ。というわけだ。
 坂本教諭はワンテンポ置いた。学校は隠したいのよ、とは言えないであろう。
 一方レムリアは由香の保護者が“祖母”であることに引っかかっていた。しかも由香本人と姓が違う。彼女の……実の父母は一体?
「それはね……」
 坂本教諭は由香の名を呼び、場を改めた。
「はい」
「それは……あなた自身の口から、きちんとまず説明すべき、と、先生は思う。その後で、私が補足する」
 坂本教諭は背筋を伸ばし、由香の目を見つめ、そう言った。
「……はい」
 由香はうつむき気味に頷き、そのまま、まず口を開いた。
「ばあちゃんあのね」
「……なんだい?」
「私……学校でとてもひどいことしてた」
「ひどい……ひどいってなんだい?」
「この彼女……真由ちゃん、真由ちゃんを、他の3人と一緒になっていじめてた」
 由香は言い、傍らの真由の手を掴んだ。掴んで、ぎゅっと握った。
「え……」
 祖母はその告白に絶句した。
 絶句したまましばし。一般に、我が子の重すぎる告白に、即座に何か言葉が用意できる大人は少ないであろう。そしてそれは、由香の祖母が、“いじめ”という言葉を、単なる子ども同士の諍いではなく、重い内容だと受け止めた証拠。
「由香……」
 祖母はかすれた声でそれだけ一言。
 その時。
 口を開いたのは真由であった。
「それで、由香ちゃんは、命すら……と思うほど責任を感じてくれたんです。そして屋上から。それが、真実です。おばあさま」
 
(つづく)

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