グッバイ・レッド・ブリック・ロード-139-
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「傷ついていた結果がそういう行動に出ただけじゃない。だったら、その傷が癒せたら。私はそう思うだけ。……こっちの彼女の流儀だけどさ」
真由は小さく笑ってレムリアを指差した。
なぜ、真由がそういう行動……自分の流儀で動こうとするのか、由香と、そして大人達に話す必要がある、とレムリアは感じた。何のことはない。自分が真由に自信を持たせようと船の上であれこれ話した。それと同じことを、彼女は由香に対して行っているのだ。
「真由ちゃんが何をされていたか、私……全部聞きました」
レムリアが言うと、由香がうつむいた。
「人は傷つくと、同じように人を傷つけ、そのサディスティックな悦楽で傷を癒やし、トータルバランスを保とうと働きます。端的に言えばあなたはそういう川に流された。そしてあなたは流されたと気付かされた。そこであなたは、そのまま流される先の滝を知り、それよりは沈んで消えようとした。でも、流されていると気付いた時点で、あなたには沈む必要なんかなくなった。流されることが悪いと知り、そして二度と流されることはない。つまり、今後あなたが人を傷つけることはあり得ないからです。そして……流れから上がったあなたに私たちが見たのは、何のことはない。普通の女の子。ただ心に傷を持った同じクラスの女の子。だったら真由ちゃんと何ら変わりはない。であるなら、私たちは、傷ついた心に何が必要で効果的か知っている。傷ついたあなたを救いたい。ただそれだけ」
「……私の力不足なんでしょうね」
呟いたのは祖母。
「由香、喋っていいかい?……この人達は、違うと思う」
「……いいよ」
由香の言を受け、祖母が口にした内容は、子どもが突きつけられる現実として、あまりにも残酷であった。
(つづく)
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