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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-151-

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 涙が出てくる。
「姫ちゃん……」
「あの……」
 大声の後沈黙して涙……教員達は反応の意図が理解できないのだろう、ただ狼狽えるばかり。
 説明……説明しないとならない。レムリアは気を取り直す。ここで理解させないと、この者達は同じ過ちを今後も繰り返す。
「先生は……どんな反応を期待されて、そのようにクラスに訊かれたのですか?」
 問いながらギュッと歯を噛みしめたら、ギリッと鳴った。
「どんな……どんなと言いますと?」
「『はい私です』とか『この子です』とか、そんな反応があると?」
「……何らかの」
「『チクる』って言葉ご存じですか?」
「ええまぁ」
「意味とニュアンスは?」
「言いつけやがって気にくわない……あ!」
 担任はようやく己れの過ち、質問の無意味さに気付いたようである。
 
 内部告発は逆恨みを招き利とならない。……オトナ社会も少なからずそうだが。
 もちろん、それは本来間違った論理である。しかし、間違いが間違いと認識され、修正が成立する組織社会は、過誤悪事を律する雰囲気が事前に醸成されている組織社会である。
 そして、そういう雰囲気が醸成されている組織社会では、いじめは起こらない。
 
「あの……」
 担任の目線が泳ぐ。
「今すぐ何かしよう、とは、なさらないで下さいね。あなた方のそうした早計が、今日だけで2度の失敗を招いたのですよ。ちなみにクラスから反応はありましたか?沈黙と、困惑と、うつむく生徒達の姿があるばかり、ではなかったですか?どちらですか?」
「……みんな黙っているだけでした」
「その沈黙の時、生徒達はどこを見ていましたか?」
 レムリアのこの問い。念のために説明しておくと、そういう問いを発したなら発したで、“無言の解”は無かったか?という意味である。いじめの存在を知っている生徒であれば、被害者の空席や、加害者の背中をチラと見るのではないか?それを確認できたか?ということだ。担任の問いは明らかに配慮を欠くが、生徒達にとって意表を突いたものではあっただろう。そして意表を突く問いには、人はつい本音を出すものだからだ。……最も、そこを突いた詐欺が横行している昨今であるが。
 
(つづく)

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