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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-156-

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 レムリアのセリフに、坂本教諭は呆れたようにため息をつき、腕組みした。
「嘘をつくほどのことかしらねぇ……なるほどスパイが必要だワ」
 そこへ、父親が引き戸をガラリ。なお、坂本のセリフの“ワ”は、古典的な女性の喋り言葉の語尾ではなく、名古屋弁のイントネーションである。
「まぁまぁ先生、玄関で立ち話もアレですのでお上がり下さい。お茶を淹れておりますので」
「ああ、すいません、では失礼して」
 坂本教諭はブーツを脱ぎ、三和土の隅に揃える。
 学校側の状況は以下の通り。校長が感謝状から早計にもコルキス王国姫君激怒と勘違い、事態の収拾にと教頭を真由宅へ派遣。
 そして校長自体は、坂本教諭に根掘り葉掘り訊いてきた、という。
「どの程度喋ろうかと迷ったんだけど……」
 真由がよそ者いじめに遭い、由香は自責の念から飛び降りた、とだけ言ったという。そして、その際由香から数人の名を聞き出したので、後でそれら生徒にアクセスする権限をよこせと要求したところ。
「全権を私に、だって」
「それってこれ幸いと押しつけて逃げたんじゃないんですか?」
 レムリアは反射的に言った。
 すると父親が腕組みして。
「少し違う。政治家の動き方だよ。走狗と腹心で情報収集と操作を行う。必要な範囲でウソを使い言質(げんち)を残さない」
「で、イザとなったらそうした人たちに責任おっかぶせて、自分はそれこそ言質がないのをいいことに尻尾切って逃げちゃうんでしょ?」
 父親は苦笑した。
「君には参るなぁ。本当に真由と同い年かい?」
「周りにオトナが多くて耳年増でして」
 すると今度は坂本教諭が苦笑。
「言質に耳年増ねぇ。……あなた要するに感謝状にあったメディア・ボレアリス・アルフェラッツってのが本名なわけよねぇ。その辺の女の子よりよほどボキャブラリーが豊富」
 
(つづく)

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