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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-166-

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 こっちの極値からこっちの極値へ。その揺れ動く有様は振り子の如く。振り子の心というと、恋に揺れ迷う様の喩えに用いたりするが、この見聞きしている振り子はもっとセンシティブで動きも極端だ。まるで少し注意しただけで泣き拗ねる頑是無い幼子のよう。しかもガラス細工ですぐ壊れると来ている。
「う、うん判った」
 由香が処置し、メールの洪水はとりあえず収まった。
 静かになる。ビジネスホテルの窓際、夜景をバックに置かれた3台の携帯電話。
 どの機も何も言わない。
 しかし無音の携帯は逆に、裏の動きを読み取れなくした。
 モヤモヤ感。不穏、異様な気配。
 レムリアは二人に如実な戸惑いを見て取る。明日は介護施設に向かい、二人が考え出したオリジナル“名古屋弁漫才”を披露の予定だが、この心理状態でギャグ一発かませというのは無理だろう。
 電話して坂本先生に訊く?この短時間のそれこそネット経由の変化を把握出来てるかどうか。
 仕方ない。一般的ではないが、テレパシーで探ってしまおうか。ここ……北海道小樽からたっぷり1000キロはあるが、ここまでの動きは一種の集団ヒステリーの様相を呈しており、女神導く革命のパリじゃないが、シンクロした群像心理の波は共鳴しあって巨大化するから、自分の能力でも読み取るのは容易であろう。
 行使するべきか。瞼を閉じ迷った刹那、窓際3台の内の一台、レムリアの衛星携帯が着信音を鳴らした。
 坂本教諭。
「はい。何かありました?」
 出ると、少しのタイムラグ……電波が宇宙を往復し太平洋を光ケーブルで伝うため……を置き、切迫感のある息づかい。
 そして。
『あのね』
 言うには、その“親が学校に文句”、の親が動いたという。
『担任に電話してきたって。ウチの娘が犯罪者扱いされてるが何事だと。乗り込むって言うから調査の時間を下さいってどうにか明日に引き延ばしたけど、そっちには何か……』
 
(つづく)

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