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【魔法少女レムリア短編集】東京魔法少女-8-

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 レムリアの言葉に、真美子ちゃんは弾む声で答え、レムリアの手をきゅっと握った。
「それじゃぁ」
 夫婦に会釈。
「ごめんね。通りがかりだってのに」
「いいえ」
 レムリアは笑顔で応えた。
 強く感じるものがある。それは託された信頼。それを負う責任。そして自分たちを結びつけた、優しさといたわり。
 “いいな”と思う。この国のこういう人間関係はとても好きだ。
『お前たまに用もなく日本来るだろ』……多摩地区で数日の宿を借りている家の男は、からかい半分でそう言う。確かに、日本へ来る理由に、いつも絶対的な用事が含まれるかというと、そうでもない。
 なのに“ちょっと”来たくなる。その理由は多分この辺にある。
「ばいば~い」
 真美子ちゃんが夫婦に手を振り、ハリーと共に店を後にする。
「おうちはどっち?」
「こっち」
 真美子ちゃんが先頭に立って歩いて行く。どうやら電気街の向こう側まで横断するようだ。交差点を渡り、雑踏の中へ分け入る。
 角を一つ曲がる。すると、自分が親なら子ども(年齢的には自分も含めてだが)一人で来させたくない光景が広がる。
 『大通りの向こう側はお前さんには不快かもね』……多摩の男の言葉を充分に理解する。見回す必要もなく目に付く“18歳未満お断り”のゲームショップやビデオ店。デリカシー無く貼り付けられたその広告用の写真やイラスト。
『以前は家電機器とオーディオ、パソコン、そんなのが主体だった。だけど不況で利益が下がると、売れりゃ何でもいいや方向に変わっていった。古今東西、景気に左右されず一定の利益が出るのは、知っての通り大人向け』
 ため息が出る。確かに事実だし、どころか自分の住む町にはこういうバーチャルではなくリアルが存在する。自分自身を売り物にする飾り窓のマドンナ達。
 でも、ここまで露骨で下品で、汚らしくて……。
 更には……。
「オジョウサン、イラナイカイ?。ケータイ、タダデツカエルヨ」
 たどたどしい日本語が路上からレムリアを呼ぶ。口ひげを蓄え、肌の色が浅黒い、中東南国系の男だ。路上に敷いたレジャーマットに、明らかに正当な方法で入手したとは思えない携帯電話端末が並ぶ。プリクラ写真が貼られたままのものまである。
 更には……言いたいのはこれ、こうも犯罪的ではない。
 
(つづく)

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