【魔法少女レムリア短編集】夏の海、少女(但し魔法使い)と。【7】
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ちぃっと露出度の高い服装のせいか。どぎまぎするような彼女の言動のせいか。
レムリアは戸惑うように視線を泳がせたが、すぐにいたずら少女の笑みに戻って。
「おだてても何も出ないよ!」
派手な水しぶきを上げて砂の上に飛び降り、服が濡れるのも構わず少し海の中へ走って行く。
照れとるな。相原が濡れた背中に思った瞬間。
「痛っ!」
レムリアが叫び、飛び上がるような動きを見せる。
「何か踏んだか?」
「みたい」
右足を持ち上げて痛そうな顔。
片足跳びで来いと言うのも冷たいので、ポーチとサンダルを岩に置き、波の中へざぶざぶ入る。
「結構ごつごつしてんじゃん。こりゃ裸足じゃあぶねーよ」
相原はレムリアの片腕を肩に担ぎ、腰に腕を回した。
その指先がびくりと震える。
「どうかした?」
「やっぱり綺麗になったよ。お世辞抜き」
今度はレムリアがびくり。
うつむき加減で黙ってしまう。そのまま水から上がり、岩の上にレムリアを座らせる。
かかとの後ろを切っている。出血少し。尖った石か、貝殻か、はたまた割れたガラスの破片か。
「ポーチ開けるぞ」
「うん……あ、いいよ、そこまでしなくて」
「だめ。決して綺麗な海じゃない。化膿でもされたら世界中の子ども達が困る」
「……はい。すいません」
開くと中は救急用具一式。包帯や業務用……即ち病院向けと見られるパッケージも含まれている。
ある程度の救急用具を持ち歩く女性はいようが、彼女の場合量・質ともに半端ではない。
普通の女の子の持ち物ではない。
それはもちろん、彼女が普通の女の子ではないから。
(つづく)
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