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【魔法少女レムリア短編集】東京魔法少女-11-

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 違う方向へ走ったせいか、真美子ちゃんは不思議そうにレムリアを見た。
「うん。わざと。あんなのに見つかりたくないから。ちょっと遠回り」
 レムリアは言い、自販機でジュースを買った。
 一休みして出発。大きく回って到着したのは、電車の高架脇、狭い路地に面した古い雑居ビル。
 表面のモルタルが一部剥がれ落ちており、埃っぽい空気。人の気配は希薄。
「お姉ちゃん」
 真美子ちゃんが呼んだ。
「ん?」
「さっき、変な人に魔法使ったでしょ」
 真美子ちゃんは言った。彼女にもあの醜悪な男は尋常ではないと映ったらしい。幼さ故の本能的危機察知能力であろう。
 しかし、レムリアは、彼女が言ったもう一つのフレーズの方にドッキリ。
 ……バレた?。
「だって、お姉ちゃんがこうやったら、あの人のリュック壊れたもん」
 真美子ちゃんは、男を差し示した時の動作をまねした。小さい子は周囲の挙動を意外なほど細かく見ているものだ。無意識の行動を真似されて、“どこでそんなの覚えたの?”というのはよくある。
「ハリーがどこにいるか当てたし、ハリーとおしゃべりできるし……」
 真美子ちゃんの認識は最早確信に達しているようであった。確かに、犬の名前のハリー自体、世界的に有名な魔法ファンタジーの主人公だ。
「お姉ちゃん、本物の魔法使いなんでしょ?」
 真美子ちゃんは立ち止まり、まっすぐレムリアを見た。
 その瞳が物語る。揺るぎなくそう信じている。
「あのね……お姉ちゃん……だったらね……」
 レムリアが何を言おうか考えている間に、真美子ちゃんが意を決したように切り出した。
 自分を見上げる瞳に涙がいっぱい。
「あたしに、あたしに魔法を教えて……お母さんを助けたい……」
 真美子ちゃんは涙と共に大きな声で泣き出した。
 長く、辛い我慢が、彼女の中にあるとレムリアは知った。それを悟られまい、弱く見られまいとして、精一杯気丈に頑張ってきて、こらえきれなくなったのだ。
「お母さん、まみのために一生懸命働いてくれたのに、まみ何も出来ない。だから、だから……」
 
(つづく)

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