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【魔法少女レムリア短編集】東京魔法少女-13-

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「お引き取り、願えませんか」
 か細い声の応答があった。
 やっぱりとレムリアは思った。真美子ちゃんの涙の頼み事、すなわち“施し”を受けるのに抵抗があるのは、当然ながら親からそう言い聞かされているせいだ。だが、この状況はどう考えても患いがあるし衛生状態も良くない。
「お母さん、このお姉ちゃんお母さんのこと看てくれるって」
「お帰り下さい」
 細い声だが強い口調。しかし帰れるわけがない。レムリアは靴を脱ぎ、上がり込んだ。
「失礼します」
 部屋は二室。窓際の部屋に布団。
「ずけずけと申し訳あ……」
 レムリアは言いかけて絶句した。目にしたその状況は、誰が見たとしても、同様に絶句し、次いで“なんで21世紀にもなってこの豊かな日本で?”と思うであろう。
 げっそり痩せたお母さん。骨と皮に近い状態。
 理由は聞かずとも判る。食べ物は全て真美子ちゃんへというわけだ。
 ……世界中の難民キャンプで、貧困にあえぐ集落で、幾度も目にした、
 母の姿。
「こういう組織で医療ボランティアをやっております」
 レムリアはウェストポーチからIDカードを出して示した。
 国際医療ボランティア、欧州自由意志医療派遣団(European Free-will Medical care Mission:EFMM)。
「nurse……看護婦……」
「そうです。前に何か食べたのはいつですか?」
 レムリアは布団の傍らに正座し、お母さんの手を取った。
 冷たい。額、首、その他要所に触れたがしかり。体温が低いのである。栄養不良で体温が作れないのだ。人体というのは、ある程度温かくないと動けない。
「恥ずかしい……見ないで下さい。恥ずかしい」
 お母さんはぽろぽろと涙を流した。
「いいえ。そんなことはありません。私、この援助隊で世界中の恵まれない土地を見ました。お母さまは母の鑑だと思います。文字通り身を削って真美子ちゃんを助けようとしてらっしゃいます。でも、真美子ちゃんのためなら自分は死んでもいい、そんな風には思わないで欲しいんです」
 
(つづく)

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