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【魔法少女レムリア短編集】東京魔法少女-14-

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 レムリアはお母さんの手を握り、言った。
 テレパシー能力により状況が判ってくる。夫君が事業に失敗して失踪、借金を抱え込んだ状態で母子家庭となり、食費節約のため、ろくにものも食べずに働き続けた結果、ある日突然倒れ、高熱と共に身体が動かなくなった。
 その後は蓄えを取り崩しつつ、足りなくなると自らの食事を抜きつつ、抜く回数を増やしつつ。
「苦労なさったんですね」
 レムリアはお母さんの目を見つめ、言った。
 お母さんが頷く。ただ、その目の中には“施し”に対する強い警戒と躊躇の壁があり、崩れる気配はない。身の上を理解してくれてありがとう。でも……というわけだ。
 承諾を頂くにはもう少しかかりそうである。であるならば先に。
「体温を測らせて頂いてよろしいですか?」
 レムリアはウェストポーチを開き、耳で測るタイプの体温計を取り出し、お母さんに見せた。
「失礼します」
 耳にあてがい1秒。
 33度。低体温症だが意識がしっかりしていることもあり、軽微な部類と見る。酔って寝込んだりして起きるのと同程度。でも、放っておけば動けないことから余計に栄養を取れずの悪循環となり、である。ちなみに、良くある寒さの中で眠くなる現象はこれの重症だ。内臓の温度保持のため、身体のエネルギー消費を減らそうとするのである。
「低体温ですね」
 レムリアは酔って寝込みを引き合いに出して説明し、体温計をしまった。
「あの私ども病院には……」
 医師の診療が正であり、看護師の判断は許されない。が、経済状況は承知しているので医者は不要だと言った。処置としては保温し、加温する。このうち保温は毛布と布団でまかなえるからさておき、問題は加温だ。一般に思いつくのはマッサージだが、そのような急激な温度上昇を図ると、マッサージした部位の血流が増加し、押し出された冷えた血液が心臓や肺に戻ってショックを起こしたりする。ゆっくり、身体の中から、が基本なのだ。病院では風呂湯程度に温めた点滴を実施する。代替としては湿気の多い暖かい空気を吸わせたり、温かいものを飲ませる。以下、次善としては脇の下などにカイロなどを置いて流れの緩やかな静脈血を温める、添い寝をする、となるか。
「お母様」
 レムリアは布団を直し、母体をくるむようにしながら言った。
 
(つづく)

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