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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-111-

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13

 
 ガラス張りのフロアであった。
 壁のような物は見えなかった。
 まるで自分が完全な透視能力者になったような気分だった。
 ベッドが並び、人々が仰臥し、それぞれのベッドサイドには、大がかりな機械が1台ずつ据えてあった。
 人体実験の被験者であることは間違いなかった。同時に、故意に見せる意図があって全面ガラス張りになっていることも間違いなかった。
 表向きは風土病の研究所である。さもそのようにマスコミ等に見せることは充分考えられる。本物の悪ほど表向きのメッキは綺麗にするもの。
 しかし、被験者に喋られたら、否、喋れない?
「罠っぽいな」
「一人一人隔離してあるね」
 相原に続き、レムリアは言った。お互い違う立場から感じたことだが、どっちも正解だとレムリアは思った。
「……いる」
 そしてレムリアは呟いた。いらっしゃった、が日本語的に正しいことは認識している。だが、何故か敵に対するような言葉になった。
 そのわけは。
「お医者か?」
「ええ」
 ガラス通路を奥へと進む。肉眼では通路と壁と出入り口が判別できないわけだが、ウェアのゴーグル越しに見ているため、SARが働いて角や縁が強調表示され、迷ったりぶつかったりする懸念はない。
 入り口と思しき場所に到達する。上と同じ集合写真パネルがここにも掲示してある。
 ガラスのドアが横にスッと開く。自動ドアではなく、自分たちの存在を感知した上での意図した行動による。すなわち、誰かが操作して開けたのだ。相原の言う罠の部分だ。
 罠、の故か、一瞬躊躇した相原に代わり、自分が先になって中に入る。もちろん相原は後から銃に手を添えて続いた。この期に及んで彼が尻尾巻いて逃げるとは、そもそも思っちゃいない。
 人々の意識が自分に向くのを感じる。ガラス張りの故に反射と屈折で自分たち闖入者が見えるのである。彼らは意識自体は清明であり、五感も機能しているが、自らの身体を動かしたり意思表示は出来ない状況。真実を喋る恐れはなるほど生じない。
 
(つづく)

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