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【魔法少女レムリアシリーズ】豊穣なる時の彼方から【3】

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 無精ひげにサングラス。スコットランドが郷里という、ひょろりとした男が呟いた。彼らコーカソイドの瞳にアフリカの陽光は深刻に強烈すぎる。最も、人類の出自はアフリカであり、どころか、アフリカの一部部族は遺伝的にヨーロッパから戻ってきたコーカソイドの末裔という研究もある。
「です。ですが、これは私たちよりむしろ考古学、人類学のプロフェソールにお任せすべきかと」
「古代人ってことか」
「ええ恐らく」
 熱い風が吹く。見渡すとあちこちに、複数の人数分あると思われる、肋骨や腕の部位の骨。
「ここは墓所なのかも知れないな」
 墓所。
 だとすれば聖地であり、このように野ざらしで良いことはないはず。
 彼女は男の子に族長さんへ連絡して欲しい旨伝えた。
 その間、背の高い彼は座り込み、いにしえ人の骨を手に取り観察。
「ああ、この大腿は現代よりも太いくらいだな」
 次いで埋もれた頭蓋骨を手で掘る。
「この歯。すり減っていないのが判るかい?古代ここはこんな砂だらけの荒れ地ではなく、植物が良く繁茂し、食べるものも豊富だったということなんだろうな。やがてテクトニクスで砂漠化した。そして現代になって砂嵐が吹き荒れるようになり、その砂嵐がヤスリのように作用して表層が削り取られ、こうして彼らが露出した。おおこれは凄い。ここを見てごらん」
 ひょろ長の彼は独り言のように喋っていたが、実は自分に話しかけていたのだと判り、彼女は彼の指先に目をやった。
 透明な石。首の骨の部分に規則正しく並んでいる。
 それはネックレスとして、この人が首にしていたことを意味する。
「水晶?」
「ではないな。100キロ向こうにキンバーライト噴火と見られる火山の噴火口がある。これは恐らくダイヤモンドだ」
「…ダイヤ」
「盗掘されていない。恐らくは豊かに栄え、そして戦乱などなかったのだろう。彼らが現在この有様を見たら子孫の業を何と感じるか」
 この有様…ひょろ長の彼が示したそこは、荒廃した赤土の上に並ぶ多数のキャンプ。
 わずかな利権、国家・支配権力を争った結果の姿がこれ。
 その時。二人の背後に人影。
 振り返ると、さっきの男の子と、男の子に連れられ、木の枝の杖を手にした民族衣装の族長。
 
(つづく)

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