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【理絵子の夜話】犬神の郷-3-

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 終始クールな彼女の眉根がぴくりと動いた。3名揃ってじろじろ見られる。彼女は刹那の間に3人それぞれに目を合わせた。
「組長(くみちょう)さん、この子だが?綺麗な娘さんだが」
「いんえ違え(ちげえ)。もっと小っころかった(ちっころかった)」
 皿洗いを続けていた女将の手も止まった。
「わたくしではないようですね。ともあれ、ここまで長い距離歩いて来られたご様子。お身体も冷えておいでのことでしょう。どうぞおあがり下さい」
 本橋美砂は勧めたが、紳士らの視線は彼女の背後に移った。
 主人氏がコタツを立ったからであった。
「宿のご主人で」
「はぁ、わたくしが主人の塙ですが」
 頬は赤いが酔いは一気に吹き飛んだ、そんな表情。
「ごの娘さんは……」
「住み込みで働いてもらってます……」
「本橋美砂と申します」
 本橋美砂は先に名乗った。
「前に禊祓(みそぎはらえ)の儀を執られた巫女の……」
 “組長”と呼ばれた男性の言葉に、本橋美砂と主人氏は同時に「ああ」と言った。
「それはわたくしの友達です」
 本橋美砂は言い、携帯電話を取りだす。
「美砂ちゃんここは電波が……」
「存じてます」
 内部メモリの写真を呼び出し、映して見せる。
 小柄で、セーラー服を着た、本橋美砂と同様に長い髪の娘。
 レンズに向かって二人でピース。クールな印象の美砂に比して静謐で凜とした……黒曜石の趣。
「ああ、この子ですだ」
「んだ、ちげえねぇ」
「あんだ友達(どもだぢ)がえ」
「ええ。でも彼女は都内ですよ」
「都内。こちらにお住まいでは……」
「ありません。その儀式もたまたま塙さんに泊まりに来ていたときと聞いてます。ともあれお上がり下さい。結構な道のりいらしたご様子。お風邪を召します」
「そうそう、上がって上がって。母さん“酒まんじゅう”と熱いのを」
 
(つづく)

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