アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-002-
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画面切り替わり、同時通訳付きで演説が流される。
相原学は固唾を呑んでその状況を見た。要約すると以下の通り。
・探知衛星がミサイル発射を探知の情報
・標的算定、発射地算定より、合衆国本土に対する大陸間弾道ミサイル攻撃であると結論
・大統領へ直ちに報告がされるも、合衆国領空への侵入が差し迫っているとして迎撃報復を自動的に開始
・迎撃システム、スクランブル発進の戦闘機等の情報から当該ミサイル等は発見されず、誤報と判断
・報復ミサイルに動作中止命令を発するが反応せず
・各無人航空機は自爆指令に反応せず
・自動報復システムの動作を解除できず
・警戒システムの遮断を試みるも、人的介入は困難な状況
・無人航空機は戦闘機が追尾補足しているものの、接近・攻撃すると核自爆を起こすため撃墜に至らず
・標的国到達は最速で日本時間18時12分頃(およそ30分後)
・大統領が標的各国へホットラインしているが、避難等間に合う保証はなし
・通信回線によるアクセス及びシステムの爆破、電源遮断を実行中
『核戦争の危機が生じました。政府は“武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律”に従い……』
相原の表情には最初悲しみと諦念があった。
ミスとは言え、核ミサイル撃ち込まれて何も反応しない国家民族があるだろうか。
どころか、大義名分さえ整えば合衆国を攻撃殲滅せんと欲する国家民族は幾らでも存在する。当の合衆国は誤射により幾らかミサイルを失い、何より防空システムは暴走していて役に立たない。
千載一遇の攻撃チャンス。
全面核戦争勃発の危機と言って良かった。しかし、程なく彼は怒りに似た表情を浮かべ、歯を食いしばり、次に拳を強く握った。
「想定される最悪の事態ってセリフは、アニメ以外で聞く気はねぇんだよ大統領さんよ」
(つづく)
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