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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-004-

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 彼女が駆け寄ると、門扉を閉じる。通りがかった近所のおばさんが船に気付いて声を出す。
 対し相原は寸毫も動じることなく。
「すいません凄い風が吹くので離れて下さい」
 おばさんが逃げるように去るのを待って、二人は共に縄梯子につかまる。空中の船が縄梯子をするすると巻き上げる。
 船は縄梯子と、二人を収容すると、次の瞬間、周囲に暴風をもたらし、
 次いで文字通り、白昼の流星と化して天空へと飛び上がる。
 それは21世紀初頭の常識を逸脱する推進機構を有しているのであった。ちなみに、大気圏内で運行する場合の速度は、地球一周に12秒ほど。
「ごめん……また」
 船内通路を歩きながら、彼女ははんてんの背中に言った。
 実は以前、彼女は相原を少々強引に誘い、結果彼は大きなケガをした。お詫びを申し出た彼女に相原が返したのは『今度会うときはデートしろ』。
 その約束を反故にした。借りがまた一つ出来てしまった。
「元気か?」
 相原は振り返らずに訊き返した。気持ちを知っててはぐらかしていると理解するのに時間は要らなかった。
「あ、うん」
「守ろうぜこの星」
 相原はそう言うと、後ろ手を伸ばして彼女の手を握り、ぐいと引っ張った。
 船体の形状に沿って弧を描く通路を歩いて船尾方向。銀行の金庫のような巨大な扉が存在する。
「レムリアです」
 彼女……レムリアが言うと、巨大な扉は巨体に似合わぬ素早さで開き、二人を迎える。
「早くなったな。駆動系変えたか?」
 扉の挙動に相原が感想を述べ、揃って入室したそこは船の操舵室である。左手に大きなスクリーンがあって外界を映し、画面下にはコンソールがあって、男が3名、座して見ている。右手にはひな壇状に幾段か同様にコンソール……但し机のみで無人……が配され、その最上段には、褐色の肌をした大柄な男が1名、腰を下ろしている。さながら大学の不人気な講義だ。但し、大柄な男の着衣は軍の高官を思わせる青い制服。
 
(つづく)

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