アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-041-
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船の能力を持ってすれば、姿を隠せば良い話ではある。しかし、何せセイル推進中は光を帆に当てる必要があり、光圧シールドでそれを邪魔するわけにも行かぬ。
「共産諸国間の通信トラフィック急増」
セレネが報告。
「バレたか」
これは相原。
「判っている。だが後回しだ。シュレーターどうだ」
「遠い。少し任せてもらっていいか」
「了解」
アルフォンススの解を受け、シュレーターは舵を振った。応じて船は船尾をガラガラヘビのように振り回し、光が竜巻のように渦巻き拡散する。
レムリアはレーダとテレビカメラの感度を目一杯引き上げた。拡散する光がMARV子弾頭を幾らか吹き飛ばして行く。子弾頭は小型で軽いので、圧力でひしゃげて中身が…という心配は逆にない。
「これでどうだ」
シュレーターが言い、光を止める。
レーダの表示が落ち着くまで待機。
そして、擾乱の収まった画面に、顔が凍り付くかとレムリアは感じた。
「ダメです!5発が大気圏に突入。あ、親弾頭もう一つが所定のコースで大気圏に入ります!」
自分の声に操舵室が緊迫するのを感じる。大量の小型核弾頭が雨あられのように地上に降り注ぐ。
放っておけば。
しかし標的が小さすぎる。とても地上に達する前に全部を発見、処理しきれそうもない。
レムリアは相原を見、アルフォンススを見る。
「遅れたか……副長、全弾頭の落下地点計算まだか」
「はい。先の5発は北極海からシベリア……詳細は確定できません。後から落ちた、まだ展開していない方の弾頭は……そのままの軌道を取れば……」
セレネはキーボードを叩き、船のコンピュータとのやりとりが文字列でスクリーンに流れる。
「どうした」
「……出ました、ウラル山脈東方。未登録都市?どういうことでしょう。衛星写真を出します」
(つづく)
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