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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-060-

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 10秒ほど掛けて加速と減速。その間、最高速度は秒速6万キロほどに達した。
 そして、視界一面の月世界と、宇宙砲台。
 砲台はこの船とほぼ同じサイズ。
「本船を探知。撃ってきます」
「直ちに反転しエンジン光圧でL点からはじき出せ」
 その瞬間。
 宇宙砲台はレーザ機関砲と化した。
 骨だけになった傘が回転しているように見えた。
 傘の骨に見えたのは、個々のレーザ光条であった。
 砲台各所に配された“砲口”から、四方八方に降り注いでいるのであった。
 光条はらせんを描きながら一散に降り注いだ。
 もちろん、光速の挙動であって、肉眼で個々のビームまで把握できるものではない。レムリアの超常の視覚の故に一瞬が切り取られ、認識できた光景であった。
 船の回避システムが自動対応し、船体を前転させながら砲台の背後に回り込む。宇宙空間で“でんぐり返し”。
「再度ロックオン、迎撃されます」
「帆を切れ。おとりにして撃たせろ」
「予備動力が……」
 最後の一枚である。切り落とせば予備はない。燃料僅かの主機関のみ。
「光圧シールドは……」
「燃料の無駄」
 レムリアの疑問を相原が払った。
 議論の時間は無かった。
 帆を、切り捨てる。
 砲台の迎撃システムが帆を照準し、帆が穴だらけになって行く。まるで無数のイナゴに食い尽くされるイネ科の葉である。
 その間に船はエンジン光圧で砲台をその場から押しのけ、砲台の姿勢制御スラスタ(推進装置)の幾つかを破壊した。
「砲台と衛星間の通信途絶」
 その瞬間。敵味方識別装置が警告。
「何だと?他にあるのか?」
「別の衛星間通信システムが起動しました。自由主義側のものではありません。砲台破損を待っていたように思われます」
 レムリアが答え、セレネが補足する。
 
(つづく)

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