« アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-046- | トップページ | アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-047- »

【理絵子の夜話】犬神の郷-12-

←前へ次へ→
 


 
 玄関引き戸がカラリと開いた。
「あの」
 組長氏。
「はい」
 理絵子が応対。
「その、お三方とも法力をお持ぢというごどで良いだが?」
 その問いは依頼前の最終確認であろうか。
「法力と言ってもわたくしのは千里眼、読心術の類で」
 理絵子は胸に手をして言った。超心理学の用語を使うならESP(超常感覚的知覚)とひとくくりにされる能力だ。テレパシーがメインでたまに予知もきらり、そんなところ。サイコメトリだクレアボヤンスだ専門用語知ってるが、彼女はあまりSFオカルト的な力の分析、分類を試みたことは無い。
「念力なかったっけ」
 美砂が訊いた。
「無意識にカギを開けたりとかするらしい。ああ、縛れることは縛れるか」
「縛れる?」
「あの世の連中を束縛して動きを封じる。ノウマク サマンダ バザラダン カン」
 理絵子は密教の真言(しんごん)を伴い組長氏らに説明した。それはいわゆる霊的な存在に作用する。不可視の魔性を束縛できる。
「スプーン曲げは出来ませんけど」
 理絵子は笑った。実際、やったことがないので出来るかどうか判らない。
「それでも良ければ」
「必要であれば私が手を出すから」
 美砂が言った。
「私は……」
 萎縮気味なのは登与。
「いいや一緒に。ここにいること自体必要なればこそ」
「判った」
 少女達は似たように輝く瞳で組長氏を見つめた。
 組長氏は大きく頷いた。
「お前ら、理絵子様らにお願いしよう」
「は、はい」
「で?すぐ向かいますか?」
 美砂が訊いた。
「それほどの秘密なら、私たちがこれ以上他の誰かと口を聞くのは禁忌かと考えますが。皆さんのお立場もあるでしょうし」
「それは……そうだども」
「歩いで行がねばなんねが?」
「私たちはいっこうに構いません」
 娘達は冬着とはいえ都会の装い。美砂に至っては制服エプロン。雪山を跋渉する服装では到底無い。
 
(つづく)

|

« アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-046- | トップページ | アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-047- »

小説」カテゴリの記事

理絵子のスケッチ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【理絵子の夜話】犬神の郷-12-:

« アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-046- | トップページ | アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-047- »