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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-075-

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 そして、彼は自分の血を幾らかレムリアに分けた。彼女はAB型であり、病院の在庫では足りず、O型である相原から緊急にとなったのだ。なお、O型から別の型への輸血はあくまで緊急避難であり、通常は行われないことに留意されたい。O型が万能と考えられていたのは20世紀半ばまでの話だ。
 結果、まず、銃弾自体は彼女の脇腹を貫通しており、残留などは無かった。消化器の損傷は見られず、鉛中毒の可能性も皆無とされた。
「奇蹟だ」
 担当医はのたまった。
 だとしても当然だ。相原は寝顔に語りかけるように思った。
 この手で幾人救ってきた。ここで助からないなら神様解雇だ。
 相原が手を握ると、レムリアはギュッと握り返した。
 相原が身体震わせて赤くなる。
 が、レムリアは起きる気配無く、さりとて手を離すわけでもない。
 骨張って体毛も無造作な相原の手の甲と、ほんのりと薄紅色で“肌理”という文字がまさに似合いな少女の手。
「命がけ。ってさ、マンガのヒーローと恋愛ドラマのセリフ、だと思ったけどさ」
 相原は囁き声でひとりごちる。
「お前さんは、そう言い切るに足るよ……って、何言ってんだか」
 老夫婦に一旦目を向け、二人の目線が共にテレビに向いてるのを見て目を戻し。
「オレ3月下旬の生まれだからさ、基本的にクラスの同級生はみんな年上なんだよ。思春期になると見下されてるみたいに感じてさ。背も高くないからただのコンプレックスなんだろうけどさ。たださ、ケバい化粧の大学生より、派手なくせにみんなして同じカッコしてる高校生より、素のまんまのお前さんのわがまま聞いてる方が楽しい。そんな気がするよ。世間じゃこういうのロリコンって言うらしいけどさ。単に13歳だからイコールロリータってのは違うぜ」
「んで?」
 果たして相原は心臓が止まったような顔をした。
 
(つづく)

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