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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-085-

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 それを聞いてレムリアは箸を置いた。
「いいです。このまんまで。今まで通り扱って下さい」
 姫、と聞いた瞬間、みんなの態度が変わってしまう。一歩引いてしまう。ガラスのバリアを張ってしまう。
 それは、もう、いや。
 特に、この、相原という青年はそんな存在にしたくない。
「いいの?じゃない、よろしいのですか?」
 看護師は困惑気味に訊いた。
「ええ。そういうの嫌いなんです。私は私なのに家系だけでみんな勝手に決めてしまう。なのでどうか」
「判った。じゃ、特別扱いはしないよ」
 看護師は言った。
「ありがとうございます」
 レムリアは頭を下げた。その後、二人はカルテを作ったのだが、女の子だし、ということで相原は外へ出された。
 相原が向かったのは休憩室。携帯電話の電源を入れようとし、電池切れで応答せず、新聞を手にする。
 “欧州宇宙船、核戦争を止める”
 原因はテロリストが防空システムにハッキング。解決はNATOのルートを通じて欧州宇宙機関にコンタクト、秘密訓練していた新型宇宙船にレーザ兵器THEL(Tactical High-Energy Laser)を積み込み、というストーリー。まるで事実を元にした貧相なSFである。無論、日本人某が出てこない一方、人種差別上院議員の方も出てこない。ちなみに共産帝国や先軍主義国家についても触れられていない。以下もんもんと社説や政府の対応への苦言、安全保障だ自衛権だ。
 相原が呆れて戻ると看護師がカルテを胸に立ち上がったところ。
「終わった……」
「よ。いいよ。じゃあ身元保証その他の窓口は派遣団の方に照会すればいいのね」
「はい」
「判った。治るまでゆっくりして行きな」
「ありがとうございます」
 レムリアは答えた。自分を見る相原の目が変わっていると感じる。メディア姫を見る目になっている。
 
(つづく)

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