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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-091-

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 相原の目に映ったのは、血液の飛沫を浴びながら、それでも必死になって男性を救おうとする浴衣の少女。
 その横顔は凄惨だがあまりにも美しく、相原の記憶層に鮮烈な印象を持ってポートレイトのように刻み込まれた。
 老男性を全神痙攣が襲い、相原の感傷を吹き飛ばす。腕が動かなくなり、ただガタガタ震える。
「心停止!」
 レムリアが声を出す。要するに心臓が止まったのだが全く動じない。
「任せろ」
 相原は判っていた。寝技を解き、両手を揃えて男性の胸の上へ。
「いいぞ」
「お願い。圧迫15回呼吸5回」
「了解」
 言われて相原は心臓マッサージを始める。右手の上に左手を重ね、上半身の体重を掛け、胸部がばくんばくんと動くほど力を込めて押す。相原にとって実際やるのは初めてだったのだが、レムリアがやっているのを知っており、考えずともできたようだ。
 その押す動作のたびに口から血が溢れる。それをレムリアが口を使って吸い出して捨てる。
「ストップ」
 呼応し、相原が心臓マッサージを一旦停止。レムリアが人工呼吸。
「どうしました……あ」
 ナースコールで駆けつけたのは小柄な看護師。先ほどの看護師ではないが、事態は瞭然。
「吐血しました。ドクターをお願いします。喫煙したようです。CPR(心肺蘇生)はできますので手配願います」
 レムリアは血塗れの顔で状態を報告した。看護師は数回頷き、腰につけている院内PHS電話機に手を伸ばした。(※PHSは一般向け簡易携帯としては2010年までに殆ど姿を消したが、企業の内線電話向けとしては引き続き利用されている)
「すぐ戻ります」
 看護師はひとこ言うと、一旦その場から走って消えた。
 程なくして別の看護婦とストレッチャー(キャスター付きのベッド)を持って来る。
「学!」
「はいよ」
 看護師らも加わり、老男性をせーので抱え上げ、ストレッチャに移す。
 
(次回・最終回)

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