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【魔法少女レムリア短編集】夜無き国の火を噴く氷-06-

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「(アイスランド……氷の国か!)」
 電話の声が聞こえたのである。……彼は現地では少年兵、僅かな音を捉える訓練は当然のように受けていたであろう。日本語を解すとは思わないが、だからこそヨコモジ部分だけは判るもの。
「え?本当にあるの?」
 彼女は問い返した。頭からサーッと血の引く感覚を覚える。それなら現在ただいまも煙を上げている活火山群である。それこそこの電話の向こう、日本の彼に聞いた話だ。歳の差もあって家庭教師的な部分があるが、潜在する世界規模の災害リスクの一つとして教えてくれた。「救命ボランティアするなら覚えておいて損は無いだろう」と。
 ちなみに18世紀には日本の火山噴火も合わせて世界的な不作と飢饉を招いている(浅間山。天明の大飢饉)。
 対応に失敗したと彼女は認識する。こうなるとウソ付くことも、本当のことを言うことも。
 どちらも解決にならず、ただ彼を傷つけるだけ。違うのは傷の深さだけ。
 どうしよう。怖いような気持ち。
「(アイスランドか。アイスランド……氷の国ってそのまんまだな。お姉ちゃんその人に訊いてくれよ。それはどこにあって、日本のテクノロジーで僕が行くことは出来ないかって)」
 当然の願いであろう。言葉が用意できず、ただ背筋の温度が下がる。
 唯一の逃げ道は、マヌエル君が日本語を解しないこと。
 だったら、だったら。
『何か嬉しそうな声だな』
「それが……あのさ」
 彼女は渇いた喉から声を絞り出す。貸した本の話と、否定を確信して尋ねたことと。
 対し彼は「先に言えや」と挟んでから、こう説明した。
 ・夜無き国とは白夜のこと。
 ・火を噴く氷とは氷河に覆われた火山のこと。
 すなわち、両方を満たすアイスランドについての伝承であろう。
 
(つづく)

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