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【理絵子の夜話】犬神の郷-30-

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「おめさんそれは……そうかえ、あんた達が……そうかえ。犬ッコどもは決まったかえ?」
 佐伯さんは温和に尋ねた。それは、彼女らがここにいる理由について、聞かずとも把握していることを示した。
「失礼ですが、佐伯というお名前は、伝承の末裔……」
「そったら大げさなもんでもねぇよ。昔っから住んでるだけだでさ……どこまで読んだだね」
 佐伯さんは、顔色を変えた。
 


 
 否、それ以上の劇的な変化であった。老いて見えた表情は経験豊富な成人女性の落ち着きと聡明さを備え、刻まれていた皺すら減ったかと感ぜられる。若返ったというか、覚醒したというか。
「ばあさん……」
 組長氏がたじろぐように声を出す。リアルタイムで見ていたら気付かないかも知れないが、タイムラグをもって佐伯さんの前後を見たならば、別人と感ぜられるであろう……それが組長氏の認識。
「ばあさん、じゃないよ。おまんら(お前ら)、この子達に失礼働いちゃおるまいね」
 一気に萎縮した空気が支配する。出て行けぶち殺せ以上の失礼も無い。
「まぁええよ。それでもこの子らは、どころか、わしを助けてくれたでの。その意味に気が付け」
「あ、へへぇっ」
 組長氏は唐突に土下座した。
 居並ぶ人々がそれに続いて膝をつく。
「みっともないとこ、ごめんなさいよ」
「あ、いえ。よそ者がいきなり中心に入り込もうとすれば、疑念を持つのは当然かと」
「別に気にしてません。みなさんもどうか」
 美砂と理絵子は言い、萎縮恐縮の人々に顔を上げてくれるよう促した。
「犬が味方に付く、ということですか?」
 理絵子は佐伯さんの言葉を受けて尋ねた。古文書自体は登与が指を走らせる。
「これかな?ナマズの大きさに応じて必要数の犬神が遣わされる。応じた数の法力使いの処女(をとめ)を揃えろ」
「だったら私たち3人ともってこと?」
 
(つづく)

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