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【理絵子の夜話】犬神の郷-44-

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 結果、照らし出された全て。
 光学的には無論のこと、霊的にも。
 あらゆる物が彼女達に見えるようになったのはもちろん、あらゆる記憶と歴史が彼女達にもたらされた。
「これは」
 絶句、としか言いようのない状況であった。
 集落を構成する“家”は人骨を組み合わせて形成されていた。
 屋根は編んだ髪の毛や乾燥した皮膚であった。
 それらの“調達”には鬼に多く共通する一つの概念を思わせた。
 人肉食。
 犬たちが再び注意を喚起し、彼女達は足もとに忍び寄った者達に気付き、地上に叩き付ける。以下この者どもを鬼と呼ぶ。
 鬼どもは地表各所で血を吐いていた。苛烈だが遠慮が無いのは、そのくらいじゃダメージがないと判っているから。
 続いて彼女達は知る。ここには子どもがいる。
 考えれば当たり前だが、幼くよちよちとしたその姿は一瞬の躊躇をもたらした。
 叩き付けた者達がにわかに復活、彼女達を拘束する。念動的拘束だったが、気付いたら自分らの足首を掴んで眼前にいた。どうやら、自分の念動の及ぶ範囲のいずれの場所にも肉体を移動できるらしい。それこそ地下茎のようにまず一部を侵入させ、土台を築いてから本体が移動してくるのだ。
 性欲の塊に肉体を拘束される。
 肉体的な直接接触は、念動の掛け合いとはまた次元が違った。
 心はさておき、肉体は肉体の本能によって心と異なる反応を示すからだ。念動の発生、呪文の発声、そこに行く前に恐怖と萎縮に苛まれる。
 鬼どもは足首を持って大きく押し広げようとした。性的に陵辱しようというのであった。
 身体からの非常警報。
 感じ取ったか、雄々しく立ち向かったのは他ならぬ犬たちであった。牙を剥いて鬼達に食ってかかった。
 止める間もなかった。そして、しかし。
 犬たちは所詮、念動有する鬼の敵では無かった。
 僅かな鳴き声と共に、犬たちは雪の上で次々動かなくなってしまった。
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(つづく)

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