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2013年1月

ミラクル・プリンセス【目次】

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061-065 066-070 071-075
076-080 081-085 086-090
091-095 096-100 101-105
106-110 111-115 116-120
121 122 123(終)

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ミラクル・プリンセス始めます

2月1日スタート。
毎日午前0時更新。その後手動で前後の話へのリンクを付けます。
大体130回前後?
でもそれだけで埋まるのもなんだかなぁなので、月1ペース程度で別のお話も混載します。

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彼だけじゃなくて~「リトル・アサシン」あとがきに変えて~

レムリアの話はシリーズであり、順を追って読むと彼女が成長しているわけだが(本人ムネばっか気にしているが)、じゃぁいきなりアルゴ800枚読めってのもどうかと思うので、よらずどこから読んでもいいように作ってある。ただ、今回この話の前と後では彼女のパーソナリティに確実な変化が出そうである。
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戦乱・疫病・天災と多く人命を失われた地を知るので、人体を見舞った凄惨な有様を見ても「悲しいけれど慣れてしまった」という彼女であるが、現実味は無かったにせよ、「結婚してくれ」とまで言ってきた男の子が、文字通り目の前で木っ端微塵になってしまった衝撃は相当なものだったようだ。ハイ本音言ってごらん、相原には言わないから。
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「自分に対する『思い』まで吹き飛ばされてしまったような気がした。自分に対する思いを否定されたような気がした。そして、そうやって自分のことばかりに帰着して考えてる自分に嫌悪。死んでしまったのは彼なのに」
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こと救助とは「人格としての個」を表に出さない行動の代表例だと思うが、彼女の場合なまじっか「ただ、そこにいるだけで」人を惹き付けてしまうので、「個」がどうしても出しゃばってしまい、意識思考に常在せざるを得なくなる。ましてや思春期、人格形成期であって、「全」の中で「個」の立ち位置を見定めようと常に心理が動いている。遺伝子的に勝手に動く。すなわち「自分に帰着する」のである。そしてそれは、書いたように救助という場においては矛盾であり懊悩の元になっている。
実はある意味救いが必要なのは彼女なのかも知れぬ。スキル上自活は出来るであろうが、じゃぁそれは例えば一人暮らしのOLさんと何が違うのか。相原は彼女を愛していると公言して憚らないわけだが、「いとこの兄ちゃん」ポジションは維持している。否それは相原なりにレムリアと一般独身女性との差に気付いていて「見守っている」とした方が正しいのかも知れぬ。何か足りなさを感じていて、その状態で「木っ端微塵」にされたのが、恐らくこの時点での彼女なのだ。昆虫でサナギの形態を持つ種は(完全変態という)サナギの中で一度ドロドロになって作り直されると言われるが、木っ端微塵は似たような状況に彼女を持ち込んだのかも知れない。
個人的に思うに、このままを保持して羽化するならばまさに女神である。燦然たる輝きを放つ若き王女に脱皮する可能性を秘める。
その時はいつ来るか、然るべき時、その示唆は次の物語を紡ぐであろう。
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レムリアのお話一覧目次のページへ

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【魔法少女レムリア短編集】リトル・アサシン-26-完結

←前へあとがき→
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 アヘンを吸うわけにも行かず、ケシの煙が収まるのを待ち、彼女は彼を探しに行った。
 しかし……どれだけ強力な爆弾なのか、そこにあるのは地面に出来たクレーターだけ。
 凄惨な破壊を受けた人体なら幾度も目にした。しかし、ここには憚るような描写の対象すら無い。
 文字通り、吹き飛んでしまったのである。
 結果、荒野の墓標は、突き立てられた銃と、焦げた靴だけ。
 彼が存在したという証は……このポケットのポピー一輪。
P5030153
「名前は?」
 医師は油性ペンと、トリアージのタグを手に彼女に訊いた。
 トリアージとは、災害救助において、被災者の身体の状態に応じて治療の優先順位を付ける行為。タグは、その結果を書き込んで足首に付ける荷札状のもの。
「いいえ。聞いてません」
 彼女は首を横に振る。自分は彼の名前を知らない。彼も自分の名前を知らない。
「私が来なければ……」
 男の子に言い寄られた経験はないではない。拒絶した経験もないではない。
 それは、自分がそれなりに人を惹き付け、そして傷つける存在でもある証左。
 でも、でも、こんなのってあるか……。
 神様、あんたひどい。どこの神様か知らないけど。
「いやむしろ、あなただから受け入れて、だからこそ昨日の子は助けられたのだ。そうでなければ彼らは治療を受け入れなかっただろう。昨日の子はもちろん、汚染されたナイフで今後も乳幼児が死に続けた」
 彼女の二の句を遮って医師は言い、タグの記名欄にペンを走らせる。
「思い込むな。あなたが死に追いやったわけではない。彼らは命より大事なものがあると判断したのだ。彼らは戦士だ。それが彼らにおける人命の価値だ。彼らの判断に口を出すのは、彼らへの冒涜、我々のエゴの押しつけ」
 〝R.I.P./little assassin〟
(眠れ安らかに/小さな暗殺者)
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リトル・アサシン/終
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あとがき
レムリアのお話一覧

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真っ赤な電車の秘密の仕事-8-完結

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-5-
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 ヘッドライトがサンタの目で。
 ヒゲ模様のストライプをまとった“はじでんクリスマス号”は、繁栄町とはじめのせととを往復し、往復割引切符の効果もあって、多くの子ども達をトンネルの中の“サンタワールド”へ運んだ。
 “乗り物のまち”と“お人形のまち”が用意され、それぞれ手持ちのミニカーやおもちゃの電車、人形やロボットを配して遊べるのは前述の通りであるが、床面直置きは変更され、発泡スチロールの山でかさ上げされ、更に各ジオラマのそこここに穴が設けられ、下から身体を入れられる構造にした。単に手が届くだけではなく、自分がそれぞれの街の住人になって、その目線で眺められるようにしたのである。お人形のまちで言えば、昔からある女の子向けのお人形とアニメのフィギュアが並んで歩き、そこに時たま正義のヒーローやロボットが混じったりした。むろん怪獣も出現したが、ヒーロー軍団がよってたかって退治した。
 基本的に乗り物が男の子を意識、お人形が女の子を意識してはいたが、ミニカーだらけで大渋滞になったことで女性警官の交通整理が出現したり、ミニカーがお人形のまちにも現れたりと、やがて両者は混交を開始した。余ったおもちゃの線路が発見されると、お人形の街に新線が建設され、そのうち、双方のまちの間に折りたたみの机が並べられ、まちの間を結ぶ大延長接続工事が始まった。結果、普段畳一畳程度のスペースでぐるぐる走るおもちゃの電車が50メートルの直線線路を走ることとなり、家庭では実現し得ない光景に男の子達は大いに興奮した。
 そして、二つのまちの往復に、新線建設の資材運びに、3人が代わる代わる運転する100円電車は大活躍したのであった。
「発車します。ドア、無いけどシェリエス(閉まります、の意)」
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※作者註:100円電車のIHをぶっかいた非接触給電システムや汎用インバータを使った駆動法は「机上の空論」レベルであり、実証したわけではありません。安易な真似は事故の可能性があるので止めて下さい。何かあっても責任は取りません。
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真っ赤な電車のひみつの仕事/終
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【魔法少女レムリア短編集】リトル・アサシン-25-

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 少し距離があるため、鼓膜が破れるような、とまではなかったが、爆風はテントを揺さぶり、吹き上げた砂をザアッと辺りに降らせた。
「爆弾だ!あのガキャ!おいみんな逃げるぞ」
「いえ……攻めては来ません」
 慌てふためくスタッフと、色めき立った他の医師らを、彼女は落ち着いた声で制した。
 異国の言葉が朗と響く。それは、彼の父親の、吠えるような声であった。
 崖の上、ケシ畑があるところに馬があり、その背には長剣携えた男がまたがっており、古代戦士の勝ちどきよろしく、剣を天に突き上げて何事か叫び、やがて走り去った。
 立ち上る煙と炎。ケシ畑に火が放たれ、燃えている。
「魔女に呪いのあらんことを」
 彼女は言った。
「判るのかい?」
 私の勘は勘というより。
「ここの現地語もレパートリーに?」
 スタッフの声を遮り、再びの爆発音。
 今度は崖の地中都市が火を噴く。横向きの火山噴火のように火柱が突っ走る。
 彼らは住居も、畑も放棄し、この地を立ち去る気である。
「逃げるのか」
「ええ。でも元より殺そうとしたのは確かでしょう。彼の父親は私の接近を快く思っていない節がありました。私は恐らく、呪いであるはずの病気を治し、あまつさえは息子をたぶらかした異教徒の女。文字通り魔女です」
「ではプレゼントと称して……」
「恐らく。でも私は受け取らなかった」
 魔女なら爆弾かどうか見抜くであろう。そんな意図でこれを寄越したと彼女は理解した。仮に魔女なら、たぶらかされた息子もろとも撃ち殺す。魔女じゃないなら爆死し、巻き添えも出ようが、所詮異教徒と女。つまり、爆弾は魔女かどうかの判断材料だったわけだ。
 そしてどっちにせよ、一族に損失無し。
 一方、息子の彼はそんな父親の企みは知らなかった。ただ、純粋に。
 多分。推測であるが。
 結果、彼は射殺された。しかし、続く自分への攻撃は、魔女への恐怖からか、断念し、逃げ出した。そんなところか。
 息子の命よりも大事な信仰……本当なのか。
 子どもが死んだのは弱いからとか、或いは神の加護が無かったからとか。数と確率で考えていた節はあるが。
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(次回・最終回)

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真っ赤な電車の秘密の仕事-7-

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 駅長は100円電車を指さして言った。コンデンサ、電気を溜めておく部品である。要するに充電して使うのであるが、
「非接触給電はIH調理器を使った。電車側には分解してコイルを積んで、地上に置いた調理器から電力をワイヤレスで受け取る。それをコンデンサにため込んで走る」
 IH(あいえいち)調理器は電力を磁力線に変換して鍋に送り込み、煮炊きを出来るようにした家電品である(産業用の高温炉もある)。これを電力送信に使う一方、受信側もその磁力線発生コイルを取り出して利用、磁力線を電力に戻す仕組みとしたのだ。このため、電圧が元のコンセント100ボルトに対応しておく必要があり、市販の充電式電池では電圧が足らず、コンデンサにした。数を稼ぐため、電車の椅子の下車体の中はコンデンサがぎっしり。
「それで」
 駅長はヘルメットの男性をおーいと呼んで招いた。
 男性が作業を中断して走ってくる。作業服には黄色い“主任”の腕章があり、ベルトに工具がズラリとぶら下がっていてカチャカチャ音を立てる。
「何でしょう」
「そのシーケンサ使った自動制御もいいが、この子達に運転手頼んでもいいと思うが。どうせ当日は子ども達でいっぱいになる。センサーに事故が起こってもかなわん。ほれ、模型にワンハンドルマスコンのコントローラあるだろ。あれをこいつに繋ぎ込んで」
P1150039
「あー電圧入力使えば出来るかも、ですね。ただPC-SD端子が24Vだから……レギュレータで落とせば良いか……」
 産業機器の使い方になるので委細略する。鉄道模型のコントローラのうち、本物と同じ操作をするタイプを接続し、汎用インバータをコントロールさせようという企みである。
「それなら僕らでも」
 ユースケ達は言った。
 そして。
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(次回・最終回)

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【魔法少女レムリア短編集】リトル・アサシン-24-

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「俺は魔女でも構わない……じゃぁ、とりあえずこれだけ渡してくれ。礼だ。女って花好きじゃねぇか。異教徒もそうだろ?」
「おっとケシの花はお断りだぜ。持ち帰ったら死刑だ」
「これは違うよ。好きな女が出来たら渡そうと思って、紛れ込ませてこっそり育てた」
「ポピーか?それなら請け負った。さあ、悪いけど彼女の治療が残ってるんだ。しつこいと嫌われるぜ」
 それはウソ、と彼女は言いたくなった。おっしゃる通り勘はいい。すごくいいですよ。人の考えてること判ろうとすれば百発百中ですよ。
「わかったよ。ちゃんとそれ渡せよ異教徒」
 彼女はベッドの枠につかまって立った。が、歩き出した時には、彼の背中が遠ざかるところ。
 貧血起こして座り込む。
「おいおい起きるには早い。まぁ聞いた通りだ。また来るぞ。ありゃ本気だ。どうするね?」
 スタッフはニヤニヤしながら、無造作にちぎられたのであろうポピーを一輪、彼女の前へ差し出した。
 勘がいい、それは本来なら、この時点で事の成り行きを察知して然るべきだった。
 だが。貧血では頭が回らない。
 銃声の轟きが、いやに間延びして聞こえた。
 爆竹、或いはかんしゃく玉の破裂音と何ら変わりなかった。乾いた音が一発、残響を持って崖下一帯に広がった。
「あのガキさっき安全装置……」
 医師が言いかける。
 彼女は気付いた。それは違う。そして、立ち上がって向きを変え、見たもの。
 左側頭部から血煙を噴き上げる少年の後ろ姿であった。
 走る姿が、糸の切れたマリオネットのように力を失い、慣性の法則に従ってそのまま前の方へ倒れ込み、二転三転。その〝プレゼント〟であろう、小箱が宙を舞い、落ちる。
 狙撃されたのである。
 なぜ。彼女はテントから走り出そうとし、
 その小箱が、中から火を噴き、火の玉を形成するのを目撃する。
 目を閉じると、遅れて爆発音。
.
(つづく)

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真っ赤な電車の秘密の仕事-6-

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「そう。これをね、女の子ワールドと男の子ワールドの間に敷いて乗ってもらおうと」
「え、でもこれも線路集電ですよね。危なくないですか?」
 ユースケは言った。車輛に乗せたモータで走る。モータの電気は線路から取る。線路がそれぞれプラスとマイナス。だから例えば、何か金属のおもちゃを持ったまま線路の上で転べば感電する危険がある。
 なので多く、そうした屋上電車は柵で囲って入れないようにしている。最も、仮にそうやって感電してもケガする電圧では無いだろうが。
「ちゃんと考えてあるよ。非接触集電で蓄電する。しかも何と当社初のVVVFと来た」
「うっそまじっすか?でもVVVFってデカいんじゃ」
 ユースケは両手を広げた。少し説明がいるだろう。VVVFとは可変電圧・可変周波数を意味する英語の頭文字を集めた略称で、そのままぶいぶいぶいえふと読む。電力変換回路である“インバータ”の一形態である。モータの駆動に用いられ、1990年代後半から急速に普及している他、エアコンの室外機など、同様にモータを駆動する家電品にも用いられている。ちなみに、加速、減速時にメロディ奏でるような独特の音を出す電車はこのVVVF駆動車と思って間違いない。
「電車以外でもVVVFはあるんだよ。エアコンでもインバータエアコンって聞くだろ?他にも工場のベルトコンベアや換気ファンなんかにも使う。だから、VVVFだけ“汎用インバータ”って名前で店で売ってる。こいつも秋葉原の通販で取り寄せたものさ」
Inverter
 以下、電気的説明。非接触集電とは、例えば本物は架線からパンタグラフで、模型では線路からモータを電気をとるが、こいつは感電防止の観点から、
「座席の下全部コンデンサ」
.
(つづく)

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【魔法少女レムリア短編集】リトル・アサシン-23-

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 それはいわゆる先進国の文化圏では冗談以前の問題だろう。サラリと言われた事もあり、彼女は思わず苦笑を漏らそうとしたが。
 こちらの文化圏では単なる本気だと気付き、身を起こそうと努力に入る。文化の相違以下、説明すべき事が山ほど。
「結婚だぁ?いきなり頓狂だな。お前彼女を誰だか判って……」
「女どもに聞いたんだ。あの娘は良く乳の出る女になるって。痩せて乳も小さかったぞって言ったけど、今小さくても問題無いって」
 少年はスタッフの声を遮り、急くように言った。
 どこを見て何の評価を……彼女は今度こそ苦笑した。要は服の下胸元見られたのだろうが、余り恥ずかしいという感情は沸かない。目の前で女が服脱いだら見るのが男の子だろうと恬淡と理解している。
 それとも、自分に女という自覚が足りないからだろうか。
「そしたら族長がこれを用意してくれた。お前らの世界では結婚の約束に贈り物をするのが習わしなんだろ」
「彼女は14歳だぞ」
「充分子供産めるじゃないか。会わせてくれ。すぐ終わる」
「そうじゃなくて……しょうがねぇな。そういうことは直接本人に言うもんだ。レディの病み上がりに言うには失礼だし深刻すぎる。一旦帰れ。明日また来い」
「そうやって追い出すつもりじゃないだろうな。彼女連れ去るとか」
「銃器持ってる奴にウソ付いてどうする。しかしお前それ突きつけて押し倒す気か」
「ふざけたことぬかすとぶっ殺すぞ。オレは彼女だけいれば他は用は無いんだ」
 安全装置をガチャン。
「おお、コワ。冗談悪かったよ。ウソ言わないよ。彼女はこういう場合追い返したと知ったら本気で泣くんだ。しかも勘が良すぎてウソ付くとすぐ見抜く。君も何か不思議を見せられてないか?魔法かと思うぜ」
 彼女は聞いてこっそり笑った。ようやくベッドの上に身を起こし、履き物を探す。
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(つづく)

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真っ赤な電車の秘密の仕事-5-

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-4-
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「はじでんは元々亜炭(あたん)を運び出すために建設されたんだ……」
 口語体では長くなるので要約する。まず、亜炭とは純粋な石炭になりきれなかった植物の化石と考えて頂きたい。用途は石炭と同様に燃料。当時の地層から掘り出す。燃料としての質は悪いが、戦争中の話で、使えるものは何でも使おうとした。船に乗せて川沿いを運ぶが、最終的に繁栄町(はんえいちょう)を通る省線(鉄道省の路線。現JRの遠い先祖)の貨物列車に連結するべく、はじめのせとまで線路を敷いた。
「だから川沿いギリギリに駅があるんですね」
「そういうこと。駅前広場は船着き場だったのさ」
 その後戦争が激化、長野県松代(まつしろ)に地下基地(いわゆる松代大本営)を作ることになり、そちらへ向かう中山道本線への新線計画が出来上がった。
「そしてこのトンネルを掘り始めた、というところで戦争に負けた。計画も取りやめ。そんな感じさ。市役所前駅に行く途中、保線の資材庫があるだろ。あそこから別れて、ぐるっとUターンして、このトンネルに突っ込んで、そういうつもりだったのさ」
 駅長は言い、そういう経路にすれば、はじめのせと駅の構造を変えずに済む上、このトンネルまで上ってくる坂道を緩く出来ると説明した。
「ただ真っ直ぐ線路敷けばいいってわけじゃ無いんですね」
「そういうこと。さて、見せたいものはこれだ」
 駅長は暗がりの明かりを付けると、かぶせてあった青いビニールシートをめくった。
「100円電車」
 コウタが言った。デパートの屋上遊園に良くある、コインを入れてぐるぐる走る小型の列車。
 車輛はおんぼろ新幹線、対し、線路は分解して積み上げてあるが、アルミ製の新品。
「これってはじてつストアの……」
 屋上遊園にあったものだとヨウヘイは言った。立て直しの際全部撤去。
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(つづく)

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2013年の予定について

・リトルアサシン→全26回。1月26日が最終回になります
・真っ赤な電車→成り行き
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・レムリアのお話「ミラクル・プリンセス」2月1日スタート、毎日更新。100から130回位
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で、恋の小話やらエウリーの短いのやら混ぜて行きます。当面はそんな感じ。
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本年が皆様にとってますます素敵な年となりますことを。

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