アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【96】
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判断結果を合議の上、副長の認証を得て実行せよ。
レムリアのコンソールで一つ画面が開いた。
それは、武器を〝着て〟舳先に立つ船長アルフォンススの姿であった。
「ライブ・アモってんだ」
シュレーターが唇の端で笑う。一言で済まされたそれを理解しやすく書くならば、防弾チョッキの肩の上に銃器装架用の台を追加、そこに機関砲と思しき銃器を搭載した物だ。
船長アルフォンススは同じくカチューシャをセット。すると、船長と電子的に融合した、と船は言って寄越した。
それは武器と一体化した人間の姿である。稼働中武器としてFELという文字が加わる。
機関砲と思しき巨大銃器の正体、FEL。Free Erectron Laser。自由電子レーザという。任意波長のレーザビームを生成する。
(しまった現実に追いつかれた…ただしまだまだデカい)
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それは未来世界を舞台にした戦争さながらであった。
大地の蓋開いて現れた、ズラリと並ぶ攻撃隊を、アルフォンススは左から右へ一瞥した。
それは文字通り、視線を左から右へ走らせただけであった。
兵士一人一人を、彼の網膜が捉え、その旨が赤い四角で大画面の居並ぶ顔にマークされ、同時に、彼らの手にした武器が赤熱溶解した。
アルフォンススが〝見る〟ことは、その瞬間に照準され発砲される意味であった。(作者註:Live Ammoであり、直訳すると生体弾薬であって、この作動機序とは主旨が異なるが、人体がさながら、というイメージからの命名であろうか)
『強襲』
アルフォンススが言った。
「了解」
シュレーターが答えた。
兵士達は己れらの武器を作動させようと引き金に手をし、無力化の事実に気が付いた。
次いで溶解の熱さの故に放り出した時、彼らは目の前に唐突に出現した船の姿を見た。
船の傍らには、異常な武器を手にした3名の男があった。
小銃が溶けたことで腰のピストルを抜こうとした者もいた。しかしピストルはその瞬間に蒸発するのであった。
異常な男達は進み始めた。兵士達はそれぞれに降参の意を示して両手を挙げ、異常な男達に道を空けた。
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(つづく)
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