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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【3】

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 招待状、とまず出てきた。グーテンベルクの時代かと思うような、凝った意匠の字体だ。2つ折りのカードであり、中に幾葉か書状が挟み込まれている。
 湯が沸いてきたので、手紙をテーブルへ戻す。先にガラスのティーポットに入れておいた湯を捨てる。
 空になったガラスのポットから湯気だけ昇る。ポットを温めたのである。彼女は陶器のポットの蓋を開き、ティースプーンを挿し入れ、紅茶の葉を一盛り、湯気立つガラスのポットへ。
 カップ一杯分の湯が沸いた。
 沸いた湯を茶葉の入ったガラスポットへ注ぐ。そのついでに食器棚からコースターを出し、テーブルへ。
 ガラスのポットとカップを持ち、ポットをコースターの上に置く。中で茶葉が開き、次第に湯が褐色を帯びて行く。
 彼女はテーブルに腰を落ち着けると、カードを封筒から取り出し、挟まれた書状類を取り出した。
 中身はペン字で手書きの便箋。折りたたまれたリーフレット。そして硬質紙のバウチャー・チケット(引換券)。
 以上三葉。まず目に付いた文字列が、バウチャーチケットのこれ。

 

ORIENT EXPRESS……オリエント急行。

 

 わ、と声が出てしまう。鉄道に詳しいわけではないが、それがパリをターミナルとする世界一の列車の名だ、ということくらいは知っている。
 一体何がどういう……彼女は便箋の書状を開く。
 中身を要約する。コルキス(Colchis)王国主導で世界規模の救助ボランティアを立ち上げる。招聘したメンバーの顔合わせと趣旨説明を行いたいが、極秘なので専用の迎えを用意することが出来ない。その代わりというには児戯だが、この列車を用意したので乗って来て欲しい。乗車に際しての注意点は添付リーフレットに記載あるので参照のこと。
 極秘任務、世界一の列車に乗れ。
 まるでどこかのスパイ映画の世界。12歳の小娘相手に何事か……。
“大きな”……浮かんだのはそんな言葉。壮大な何かが、このカード類の向こうにある。この列車によって始まる。

(つづく)

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