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2015年10月 7日 (水)

天使のアルバイト-026-

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 ちょっと嘘つきになった気がする。実際は、エリアの発言は一般論である。仲間から聞かされた“子供のことを考えない親のいる家庭”、からの抜粋だ。
 由紀子がエリアから目線を外す。
 そして。
「ごめんなさい、私贅沢だよね」
 寝たまま、謝るように首を小さく動かす。
「親に見守っていてもらえる……」
「我が娘にしては殊勝な発言だこと」
 母親が戻ってきた。
「由紀子らしからぬ殊勝さだわ。明日雪かしら」
「もう!」
 由紀子が目だけ動かして母親を見つめる。
「ほんっとに憎たらしいんだから」
「あんたの親だもん」
「!」
 由紀子は反射的に上半身を起こした。
「あ、もう大丈夫そうだね。ほらミルクティー。急に立つんじゃないよ」
 母親は食ってかからんばかりの由紀子に紅茶の缶を持たせた。
「はい、エリカちゃん」
「すいません」
 エリアも缶を受け取る。
 と、下の道路にトラックのエンジン音。
 母親が首を伸ばして道路を見やる。エンジンが止まり、ドアが開閉。続いて荷室の扉を開ける音と、アパートの階段を上がってくる足音。
「やっぱりそうだ」
 母親は言うと、今度は廊下に顔を出し、作業服姿の男性と声をかわす。
「エリカちゃん。荷物届いた」
「え?」
 エリアは驚く。身ひとつで落ちてきたので何もないが。
「何もなしで女の子放っておけるわけないでしょ。少しだけどね。身の回りのもの用意したから」
 エリアは言葉にならない。どうして、どうしてそこまで見ず知らずの自分に……。
 母親が小さく笑う。
「あげるんじゃないからね。立て替えただけだからね。バイト代入ったら少しずつ返してもらうよ」
「はい!」
 そういうことなら……エリアは元気良く頷いた。荷物は衣類と、ボール紙の組み立て式タンス。安売り店で叩き売られている輸入品の怪しいテレビ。古いCDコンポ。
 

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