【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-34-
「(意図したこと形をなさず)」
溝口が口にすると、男はドア前の煉瓦敷きと庭土との段差に足を乗り上げ、バランスを崩して転倒する。
勿論その程度でダメージは受けない。即座に立ち上がろうとし、しかしその額に触れる繊手あり。
セレネであった。触れるだけで失神させてしまう。何らか超常の手法で精神意識系に衝撃を与えたのである。
「外は私が。お二人は中へ」
「判りました」
溝口がそのまま遊戯室へと入り、一方レムリアは教会エントランス側へと回る。
エントランスの扉はゴシック様式。内鍵がなされていたが魔法の前には無力。
開くと丁度、巨漢が幼い男の子にのしかかろうかというところ。なお、性的暴漢は相手の性別を問わない場合が多い。
「(意図したこと形をなさず)」
この術は、あたかも偶然そうなったかのように行動を阻止するものだが。
どう働いたのか、巨漢はレムリアを見るや、目を見開いて飛びかかってきた。
自分が片付けろと。
が、驚きも狼狽もしない。レムリアが来日して習ったことが一つある。それを実習せよということであろう。
果たして前のめりに襲いかかる巨漢の腕の片方を取る。
そして、しゃがみ込むように巨漢の胸元に己が身を滑り込ませ、腰を男の身体に押しつける。
飛びかかってくる勢いに載せて、腕を引き、腰で弾き上げる。
柔道の一本背負い。
相手が自分の身体を乗り越えたと判ったら腕を離せば良かった。競技としての柔道であれば、頭を打たないようその後の身ごなしが決まっているが、これは違う。
斯くして巨漢はその運動エネルギを保ったまま、投げ飛ばされ、教会扉の柱に激突した。
自らの運動エネルギによって上下逆さまに叩き付けられ、そのまま頭からずり落ち、首がぐにゃりとなり、俯せに倒れる。
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