【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-37-
学校の方に目を向けると、屋上に、校舎周囲に、生徒や教員の右往左往する姿が見える。
「私たちを探して……」
「るんだよ。屋上から消えたわけだし、私たち」
レムリア腰元でバイブレーション。
衛星携帯に着信。相原学。
「はい」
『学校から失踪電話』
とはいえ相原に特段うろたえた様子はない。溝口のことは話してある。電話が通じた以上、応じて何かしたのだと相原学は判っている。
「戻ったところ」
『ならええわ』
電話を切り、ウェストポーチに機体を戻すと、生徒の一人が二人の方に目を向け、気付いた。
件のくずおれた男の子、平沢だ。
「姫ちゃん、姫ちゃんだよな。溝口さんも」
特段騒ぐなどしない。むしろ幻を見た者の反応と言うべきか。
「うん。先生は?」
「ああ、呼ぶよ」
見れば携帯電話をネックストラップでぶら下げている。何かあったら連絡を、というわけだ。
彼が電話をし、3分ほどで担任奈良井が校舎内から飛んできた。
怒りか、否、憔悴の表情。
「彼女と二人きりで話をしました」
奈良井が何か言う前に、レムリアは言った。
その時溝口はレムリアから手を離そうとしたのだが、レムリアは逆に強く握った。
「彼女を傷つける者は私が許さない。だから安心して通ってね。それが結論です」
溝口に関するあることないこと既に耳に入っているであろう。ならば、これだけで良いはずだ。
黙って消えた理由すら、述べる必要は無い。
私に任せろと言ったのであるから。
奈良井はまばたきせずレムリアを見返し、小さく笑み、頷いた。
「判りました」
「それと、私に関することは憶測せずに直接訊きに来て欲しい。転校してきて一日二日、知りもしないのにあること無いこと言われるの鬱陶しいし、バカじゃね?」
「それも判りました。先に教室に戻って下さい」
「はい……行こ」
「うん」
溝口は手を振り払おうとはしない。
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