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天使のアルバイト-062-

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 女性はこう発言し、うっすら涙。
 動揺に似た感慨が衆目に広がるのが判る。店長や他の店員の、自分に対する認識が変化しつつあるのを感じる。
 対し、エリアは困惑した。
 言う通り、奇跡が起きたのかも知れぬ。或いは封印されているはずの自分の“力”が、ちらりと顔を出したのかも知れぬ。超能力とは言わないまでも、一般に“不思議”と思われる“能力”を、自分が発揮した蓋然性は多分高い。
 でも、今の出来事は不思議というには少々“度が過ぎた”ようだ。エリアに取ってそれは困る。
 なぜなら、“普通”でいられないから。
 思われる資格もないから。
 私はただ、沢口さん家のはとこのエリカ……。
「あの、申し訳ないんですけれど……今日のこと、皆さんの秘密にしておいてもらえますか」
 一瞬の躊躇の後、エリアはその場の全員に向かって言った。
 店長の少し驚いたような目。
「え?どうして?いい話……」
「別に……出来ることをしただけですし。それよりは変なヤツだと思われたくないんです。友達が“変なヤツと付き合ってる”とか言われて迷惑かかる……」
「勘ぐりすぎだよ。それに由紀子ちゃん、だっけ?きっと喜ぶ……」
「沢口さんには何も言わないで!」
 エリアは自分自身も予想外な大きい声で言った。
 店長が驚いてちょっと身をのけぞらせる。
「……ごめんなさい。沢口さんの家族には、言葉で言い表せないくらい世話になってるから……余計なことで迷惑かけたくないんです」
「OK判った」
 店長は切り替えたようにあっさり言った。
「でもホント、つくづく不思議な女の子だよ君は」
 
10
 
 秋の足音が聞こえる季節。
 エリアの一人暮らしもすっかり軌道に乗り、彼女自身、自分がずっと人間として生きてきたのではないか、と思うくらいになった頃。
「見違えるほど元気になったよ」エリアは由紀子について、買い物に来た母親にそう言われた。
 

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