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天使のアルバイト-075-

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「ところがさ、やっぱりあの子が抱き上げて、傷口を押さえていただけで血はストップ」
「ホントに?」
「ホント。しかも錯乱してる母親を見て『この子は大丈夫です』だって。その自信と威厳を持った目は天使じゃないかと思ったって」
「ふーん」
「他にも昨日のヤクザ屋さんの話とかさ、小さいことなら幾らでもあるのよ。泣いてる小さい子がおとなしくなるとかね。あの子自身は『気味悪がられるから誰にも言わないで』って言ってるらしいけど、私も聞いたし、たった今あんたも聞いた」
 そこでエリアが立ち上がった。
「ばいばいおねーちゃん!」
 エリアに手を振り、みんなの元へと元気良く走り出す男の子。ガイドと担任がエリアにペコペコ。
「ほらね」
「ほえ……」
 由紀子は少しの間まばたきもせず、男の子を見送るエリアを見つめた。
 エリアが母子の方へ戻ってくる。
「見てました?」
 エリアはいつもと目線が違う母子に向かって訊いた。
 自分が“不思議な娘”と吹聴されていることは、エリア自身よく知っている。口止めしたがムリだったということだろう。結果、特に夏以降、店員や母親など、身近な人物の自分に対する接し方が、やや変化してきたことも判っている。
 その原因が自分の行動にあることは百も承知。でもだからと言って、可能であるのに不可能のフリして無視など到底できない。
 もちろん、“人間として暮らせ”という意志に沿うなら、無視が妥当であるかも知れぬ。しかし、現実には、メカニズムはどうあれ、自分にそうする能力が備わっている(残っている?)らしいことが判った、判ってしまった。だとすれば、人間に助けられた側として、助けられる場合にはその能力を用い、そう動くべきと思うのだが、それは間違いなのだろうか。
 

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