« アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-033- | トップページ | 天使のアルバイト-078- »

2016年10月 4日 (火)

アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-034-

←前へ次へ→

 

「直ちに船に収容だろう。その後は大島とか沿岸部へ行ってくれ。観測波高が上がってきた。理屈は後だ。直ちに」
『はい』
 レムリアは答えた。
 雲をくぐってアルゴ号は所定地に降下する。夏期ならば田園が広がるのであろう、枯草色の平坦地。東側に集落。本流から分かれた細い川があり、パニックであろうか魚たちが暴れ、泡立つように見える。
 画面が指示する一軒に船のカメラがフォーカス。そして船は帆を広げ滑空し、道路上に降り立つ。
 その間レムリアは操舵室から船内通路を走り、船体左舷、海行く船なら喫水線の下に位置するドアを開いた。
 重い音を立て舷側扉のパッキンが外れて音が聞こえる。びょうと音を立てて風が吹き、彼女の髪を揺らし、視界を横切る数本を彼女は指先で払う。ドアはプラグドア方式であり、1段船内側に引っ込み、横にスライドする。差し込む光に混じる風花、
 石油の臭い。
 地鳴りのような音と表現すべきか、音と振動の境目のような空気の揺らぎを身体で感じる。船底が地を打つ感があり、彼女はアスファルトに飛び降りた。地割れ多数走り、冬枯れと見えた田んぼ各所に噴砂の痕跡(液状化)夥しい。背を向けて家屋は平屋建て。生け垣に囲われ庭を有する。膝高さの開き戸があり、ポストの表札を確かめると“狩野”とある。もらったメールには祖母殿の名は狩野さゆりとあり、恐らく間違いない。
 犬の吠え声。続く甲高い女性の声。
「タロ!どうしたタロ。もう怖くねっから。もう大丈夫だから」
 それはおばあさん……というには若い。否、それ以前におばあさんは動けないと聞いた。
「ごめんください。田立美由紀(ただちみゆき)さんのおばあさまのお宅はこちらでよろしいですか?」
「どちら様ですか?」
 問うと誰何の声があり、縁台からサンダル履きで降りて来たのはメガネの女性。着用しているエプロンに施設の名前と佐藤という縫い取り。

 

|

« アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-033- | トップページ | 天使のアルバイト-078- »

小説」カテゴリの記事

小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-034-:

« アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-033- | トップページ | 天使のアルバイト-078- »