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2017年2月21日 (火)

アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-074-

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 ラングレヌスは帆柱基部に自らの腰部安全ベルトのフックを掛ける。
 帆柱を根元から外して持ち上げ、その腰のベルトに載せる。
 質量は80キログラム。
 そのまま、右舷まで歩き、柵を倒して立つ。
「レムリアくれ」
 プラズマ銃のこと。
 渡したら、彼は帆柱担いだまま宙に身を投げ、同時に銃を地面に向かって発砲した。
 銃から火の玉が走り、反射的に帆柱もろとも彼の身体が浮き上がる。
 銃の反動を小型ロケットエンジンのように使った。
 雑木林を越えて炎の沿岸へ。“龍神花火”という相原のイメージを知る。
『展帆!』
『アイ』
 空中で帆膜が開き始め、体の良いグライダー。
 帆膜は一気に広がり、炎上部を覆うには十分なサイズであった。帆膜の耐熱性は元々宇宙航行用であり非常に高い。ちなみに一度メルトダウン状態の原子炉至近に閉じ込められ、1000度を超える高温に晒されたが、問題は生じていない。
『帆膜センサが高温警告……消えた』
『了解。対人反応あるかどうぞ』
『管制システムが検出したのは16。現在確認ゼロ』
『俺のセンサも反応しない』
『わたくしです。火事場泥棒はいずれも火炎やガスの吸引、水没による窒息、心臓マヒ等で絶命しています』
 セレネの報告。つまり強盗団はいずれも死亡。
 レムリアは少し胸が痛んだ。しかし。
『おいおい』
 強盗団の船を覗いたラングレヌスから報告。
 それは凄惨な内容であった。宝飾品・金歯の類いを遺体損壊の上、奪ったらしい。
 フラッシュバックがレムリアの脳裏を走る。それは以前在籍した救助隊で何度か遭遇したことがある。“人間の尊厳”が存在しない、価値観が違う地域はある。蓋し。
「日本なのに……」
 呟かざるを得なかった。強盗団は人道に関わる葛藤は捨て去ったか、元々ないか。

 

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