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天使のアルバイト-115-

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 そのまましばらく言葉が出ない。映った自身の姿を上から下までじぃっと見回す。
 金色の髪、薄茶の瞳、ほっそりと長い腕と指先。
「これって……エリカ?」
 由紀子はようやくに、それだけ言った。
 そして思い出したように母親の方を向く。
「そういえばエリカは?来てないの?」
 母親はすぐには答えず、由紀子の姿を少しの間見回した。
 そして頷き、
「いたよ。さっきまで。そして……どう言えばいいかな、まだいるけど帰った」
 母親は由紀子の浴衣の胸元を直しながら、静かに言った。
「帰った?アパートに?」
 由紀子が訊く。
「そうじゃないよ。何と言えばいいかな。多分、あの子……ううん、あのお方の本来いるべき場所へ」
「え?それじゃ親御さんが引き取りにきたの?……ってその『あのお方』って何。どこかのお姫様だったとか?少女マンガみたいに?」
 由紀子の質問に、母親少しの間考え、小さく笑みを浮かべてこう言った。
「由紀子。あなたの姿、誰に見える?」
「エリカ」
「だから彼女はまだここにいるのよ」
「え?でも……」
「そう、中身はあんた。だから帰ったんだよ」
 由紀子は眉をひそめ、困ったように首を傾げた。
 そこで父親が発言する。
「おい……何がどうなったんだ……由紀子は……由紀子だろ?」
 尋ねるが、母親は答えない。
 そして。
「まるで……エリカちゃんが由紀子に化けたみたいじゃないか」
 父親のその言葉に、由紀子はハッと顔を上げて母親を見た。
「お母さん……」
 母親は、新しい姿の愛娘を瞳に収め、ゆっくりと頷いた。
「あの子……不思議なところがあったでしょ」
「うん……え?」
 由紀子が少しの間絶句する。
「ちょっと待って。それって……まさか本当に……」
「信じる、信じないは、あなた次第。ただ、彼女は……あの方は、あなたに向かってこう言った。『あなたの意志でまずは答えを出してみて。私はそれが違うと思うなら、違和感であなたに答える』……由紀子。あんたが今思ったことに、違和感はあるかい?」
 

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