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2017年9月12日 (火)

アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-132-

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「この銃で穴を作ってそこから引き出してもらいます。両手を頭の上に」
 母が頭に両腕を載せ、銃は電力チャージ完了。
「行きます」
『来い』
「カウント3、2、1、0!」
 迸る火の玉。
 交錯する材木鉄骨を突き抜け溶かし、天へ向かって突っ走る。
 高熱があらゆる物を溶かし、燃え上がらせ、応じて“何も無い空洞”が広がって行く。
 チャンスは、この火の玉で出来上がった通路が塞がるまでの、まさに数瞬。
 ワイヤが引かれ、巾着の口が閉まり、視界が閉ざされ、強い力で引き上げられる。
 と、同時に。
 放った火の玉が上の方で可燃性ガスに触れたとも知る。火の幕が生じたのであろう。青い揺らめきが覆うように広がる様が透けて見える。
 引き上げられ、その、火の幕を通過した瞬間。
 爆発する。身体が無重力状態。つまり、袋ごと投げ飛ばされた。
 腕の中でびくりと震える母の身体。
『相原!』
『任せろ!』
 二人は宙を舞い、一旦止まり、再度加速し、轟と音を立てて落下し。
 炎の赤色に周囲が染まり。
 受け止められる。ギシギシと繊維の軋むその音は、帆膜とは異なる。
 袋の口、隙間から向こうを覗く。アルゴ号とあさひ丸との間に渡された漁網。
 網のテンションを保ったまま、あさひ丸の方がアルゴ号に近づく。両船の間の距離を縮めて、網でキャッチした二人の入った袋を回収。
 袋の口が開かれ、男達に抱えて出される。相原の顔が頷いてみせる。
 やがて夫となる彼を見、出て来た言葉は。
「お父様は……お父様が……」
 涙があふれだし、こらえきれない。
「お前が泣くな。オレが父でもそうする。これでいい……」
 その時。
「おいこれは破水じゃ無いのか?」
「え?」
 レムリアは仰臥している母を見た。衣服の裾が濡れている。
「海の匂いがするぞ」
 衣服の染みが広がる。自分にそのような匂いはしないが、彼の見立ては正しいと知った。
 男だからより敏感に判るのだ。

 

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