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2017年9月16日 (土)

アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-133-

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 果たして母は息づかいが荒い。陣痛が始まっている。
「船でお産は」
「可能だとは思う。ただ、大出血が怖い」
 その時。
「行け!」
 コンテナ船に渡した帆膜の上から、男達が叫んだ。
「俺たちはしばらくあさひ丸のお世話になる。陸へ向かって走れ」
『レムリア。私たちで動きましょう。相原さんも』
『相原、船長代理を命ずる』
 セレネ、およびアルフォンススの声に相原は頷いた。
 男達が帆膜から飛び込んで泳ぎ始める。帆を回収してとっとと行け。
 セレネが甲板へ上がってくる。
「ドクター。マスト格納回収。両舷前進全速。レムリア、人脈使って割り込ませられないか?」
 帆膜を持ち上げ折りたたみながら回収し、船は向きを変える、
 レムリアは電話を手に取る。
 相原とセレネが担架に母を載せる。生命保持ユニットへ搬送。
 電話先は先ほどの手伝ってもらった小児科医師。
 15回鳴らして、彼は出た。
『姫様か』
「お産です。破水しています」
『……連れてきてくれ。その代わり専門というわけじゃない。手伝ってほしい』
「判りました。現在船で向かっています。また近づいたら連絡します。ドクターシュレーター、先ほどの病院へもう一度。学、今行くから」
 レムリアは電話を切って走り出した。階段を降りて保持ユニットの扉を開ける。
 ベッドの上に仰臥位の母体。水着グラビアのように両足を立てているが、これは筋肉が力を出そうと縮むので意図せずそうなる。
「痛い……」
「初産だそうだ」
 ならば1日がかりも考えられる。
「足が……足が痛い……」
「学、痛いところ強く押してあげて。胎児の頭が神経刺激して痛かったり痺れたりするんだ」
 レムリアはベッド両サイドのスタンドを立て、毛布を掛け、一方で母親の着衣をハサミで切った。
「ここですか」
 相原は手のひらを母の太ももにあてがう。
「そこです。もっと……もっと強く」
「構わない。拳で強く押して」
 相原は肘を立ててぐりぐり押した。
「お産で夫を追い出すのは間違いだな」

 

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