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【理絵子の夜話】見つからないまま -28-

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 祖母の口で、その女性は言い、
「地上げ屋だなんて悪かったね。でもこの子らを邪魔したわけじゃないんだ。可哀想なのに力任せに追い払おうとする、そんな奴らから守りたかったのさ。この子らも私と似たようなものだからね」
「行ってしまう」
 理絵子は言った。
 祖母の身体から、がくっと力が抜ける。
 倒れ込む祖母を祖父が腕を伸ばして支える。
 理絵子は天井を見上げる。ろくろ首と共に“マジックミラー”が姿を消し、その向こうの世界の存在感が消滅している。
 それは同時に、この家にあった“吸い寄せる”ものの感じ、マイナス成分の集合が消えたことを意味する。暗さや重さは既にこの家にない。
 巨大な“磁石”たる悲しい女性がいなくなったことで、砂鉄のように貼り付いていた小さな愉快犯たちもいられなくなったのだ。
 この家には。
 時刻は午前三時を回った辺り。
 理絵子は祖父に一部始終を説明した。
 祖父は祖父で、“ろくろ首”が見えていた。一般に肉眼では感知できない現象であるが、元々は“思い”……すなわち、心の発揮するエネルギーの次元であるため、エネルギーが強烈であれば、心で直接見て取ることができるのだ。ちなみに、超感覚という能力は、心で捉える能力が格段に高感度になった状態といえる。
「本当にいるとは……」
「心の状態が姿の変化となって現れるんです。行き着く先は本当に鬼になったと思います。怒りと破壊の権化は世界中の伝説に存在しますが、恐らく実際にそういうのを見たのが元になっていると思います」
 理絵子は言った。そして、破壊の権化たちは否定され放逐され、思い満たされぬまま永劫の時を彷徨う。
叱られるばかりで優しくしてもらえない子どもと同じ。
「これで解決ですか?」
 祖父がちょっと笑みを作って訊いた。
 

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